DI(ダイレクトボックス)とは?役割・アクティブとパッシブの違い・ライブでの使い方
ライブハウスのリハで必ず登場する「DI(ディーアイ)」。結論から言うと、ベースやキーボードなど“ライン楽器”の音を、PAミキサーへ送れる信号に変換する箱(ダイレクトボックス)です。この記事では、DIの2つの役割、使う楽器・使わない楽器の早見表、アクティブ/パッシブの違いと48V(ファンタム電源)の関係、つなぎ方、そしてセット図・回線表への書き方まで、現場で困らないようにやさしく解説します。
結論:DIとは「楽器の音をPA卓へ送るための変換器」
DI(ディーアイ)とは、Direct Injection(ダイレクト・インジェクション)の略で、通称ダイレクトボックス。ベース・キーボード・エレアコなどのライン出力の信号を、マイクと同じ形式(マイクレベル・バランス信号)に変換して、PAミキサーへ送るための機材です。
手のひらサイズの金属の箱で、ライブハウスではPAスタッフが「じゃあベースはDIで」のように使います。これは「アンプにマイクを立てる代わりに(または併用で)、ラインの音を直接卓に送りますね」という意味です。
なぜ必要?DIの2つの役割
楽器のシールドをそのまま長いケーブルで卓につなぐと、高域が落ちて“こもった音”になったり、ノイズを拾いやすくなります。DIはこれを2つの変換で解決します。
| 役割 | なにをする? | 効果 |
|---|---|---|
| ① インピーダンス変換 | 楽器のハイインピーダンス(弱くて劣化しやすい信号)を、ローインピーダンスに変換 | 長いケーブルでも音痩せしない |
| ② バランス変換 | アンバランス信号(シールド)を、バランス信号(XLR/マイクケーブル)に変換 | 外来ノイズに強くなる |
ステージからPA卓までは何十メートルもケーブルを引き回します。「遠くまで、きれいなまま音を届ける」ための橋渡し役——それがDIです。
DIを使う楽器・使わない楽器(早見表)
「自分の楽器はDIが要るの?」がひと目で分かる早見表です。
| 楽器・音源 | DI | 備考 |
|---|---|---|
| ベース | ○ 定番 | DIで卓へ+アンプ併用が基本形 |
| キーボード/シンセ | ○ | ステレオならDI 2ch(L/R) |
| エレアコ(ピックアップ付き) | ○ | 弾き語りの定番。マイク録りなら不要 |
| 同期(オケ)・PC・スマホ | ○ | ステレオ2chが多い |
| アンプシミュレーター(KEMPER等) | ○ | ライン出力はDIへ。XLR出力なら直結できる場合も |
| エレキギター | × | 基本はアンプにマイクを立てて拾う |
| ボーカル・生ドラム・生楽器 | × | マイクで拾う |
例:弾き語り(エレアコ+DI)のセット図
アクティブとパッシブの違い(48Vとの関係)
DIにはアクティブ(電源が必要)とパッシブ(電源不要)の2種類があります。
| アクティブDI | パッシブDI | |
|---|---|---|
| 電源 | 必要(9V電池 or 48Vファンタム) | 不要 |
| 得意な楽器 | 出力の弱い楽器(パッシブベース・エレアコ) | 出力の強い楽器(アクティブベース・キーボード) |
| 特徴 | 信号をしっかり増幅できる | 構造がシンプルで頑丈・ノイズ源が少ない |
どちらを使うかはPAが判断してくれるので、演者が悩む必要はありません。「持込のDIがアクティブかパッシブか」だけ分かるようにしておけば十分です。
つなぎ方(基本の接続とTHRU端子)
接続はシンプルで、楽器 → シールド → DIのINPUT、そしてDIのOUTPUT(XLR)→ PA卓という流れです。
多くのDIにはTHRU(スルー)/PARALLEL端子があり、入力された音をそのまま分岐して出せます。これを使ったベースの定番セッティングがこちら。
- DIのOUT → PA卓:客席へ届く音(外音)はラインのクリアな音で
- DIのTHRU → ベースアンプ:ステージ上(中音)は自分のアンプの音で演奏
ライブ当日、DIは持って行くべき?
基本は会場のDIで大丈夫です。持込が要るのは、次のような「音作りにこだわりたい」ケースだけ。
- プリアンプ兼DI(SansAmp BASS DRIVER等)で音を作ってから卓に送りたい
- エレアコ用のプリアンプ/DIを通したい
- アンプシミュレーターのライン出力を自分の機材で完結させたい
持ち込む場合は、セット図・回線表に「持込DI(型番)」と明記しましょう。PAが電源(電池か48Vか)や接続を事前に準備できます。
セット図・回線表への書き方
DIについて演者が書くべきことは、実はこれだけです。
- セット図:ライン楽器の記号のそばに「DI」と書く(例:A.Gt(DI)/Key→DI×2)
- 回線表:マイク/DI列に「DI」、ステレオならSt(2ch)、持込なら備考に型番
- アクティブDI持込なら48V欄に○(または「電池駆動」と備考へ)
これでPAは、必要なDIの台数・ch数・電源を当日までに全部用意できます。セット図全体の書き方はセット図の作り方・書き方【完全ガイド】をどうぞ。