セット図の作り方・書き方【完全ガイド】
ライブハウス提出用をスマホで最速作成
「ライブハウスにセット図を出してください」と言われたけど、どう書けばいいか分からない——。この記事では、現場(PA・ライブハウス)が本当に見たい情報を軸に、セット図(ステージプロット)の作り方を初心者向けにゼロから解説します。上手下手のルール、1ステップ=1枚の作図例で進む4ステップ、必ず書く7つの情報、編成別の立ち位置の決め方、マイク・DI・アンプの書き分け早見表、回線表、提出の流れ、よくあるNG、提出前チェックリストまで完全網羅。最後まで読めば、迷わず1枚仕上げられます。
セット図とは?ステージプロットとの違い
セット図とは、ステージを真上から見たときの、演者と機材の配置を簡略化した図のことです。英語ではステージプロット(stage plot)と呼ばれ、日本では「セット図」「仕込み図」「ステージ図」「PA表」などとも呼ばれますが、指しているものはほぼ同じです。
なぜ必要かというと、答えはシンプルで「PA(音響)とライブハウスが、あなたの本番の準備を先にしておくため」です。誰がどこに立ち、どんなアンプを使い、マイクは何本で、返し(モニター)はどう返してほしいか——これが事前に分かっていれば、PAは限られたリハーサル時間の前にセッティングを済ませられます。逆にセット図が無い・雑だと、リハで一から確認することになり、あなたのリハ時間そのものが削られます。
【大前提】上手・下手と「客席から見た向き」
セット図でいちばん最初につまずくのが方向です。ルールは1つだけ覚えてください。
セット図は「客席からステージを見た向き」で描きます。つまり、あなたが客席に立ってステージを見ている状態を、そのまま真上から見下ろした図です。
- 下手(しもて)=客席から見て「左」
- 上手(かみて)=客席から見て「右」
- 奥(バックライン)=ステージの後方(ドラム・アンプが並ぶ側)
- 客席側=手前(お客さんがいる方向)
覚え方は「下(しも)が左」。演者目線だと左右が逆になるので、必ず客席目線で統一しましょう。多くのライブハウスのアンプの定位置は「ギターが上手(右)・ベースが下手(左)」であることが多いので、迷ったらこの並びが自然です。
4ステップで描く|1ステップ=1枚の作図例
セット図は、描く順番さえ決まっていれば手が止まりません。ここでは4ピースバンドを例に、1ステップごとに図が埋まっていく様子をそのまま載せます。上から順に真似すれば、それだけで1枚完成します。
STEP1:ステージの枠と「向き」を先に固定する
いきなり人を置かず、まず枠と方向のラベルだけ書きます。紙でもアプリでも同じで、ここが共通言語になります。作図ツールなら枠と上手・下手のラベルは最初から入った状態で始められます。
STEP2:奥(バックライン)から埋める
ステージでいちばん動かせないのがドラムとアンプです。多くのライブハウスではギターアンプが上手・ベースアンプが下手に置かれているので、迷ったらこの並びに。機種名と「持込/会場(レンタル)」は、この段階で一緒に書いてしまうのがコツです。
STEP3:演者の立ち位置とマイクを置く
アンプの位置が決まれば、演者の立ち位置はほぼ自動的に決まります(=自分のアンプの前)。中央の最前はボーカル。コーラスをする人がいれば、その人の位置にもマイクを1本追加します。編成別の考え方は下の「立ち位置の決め方」で詳しく解説します。
STEP4:返し(モニター)と注記を足して完成
最後に返し(ウェッジモニター)を、音を聴きたい人の足元に置きます。そして「持込か会場か」「持込マイクの型番」を書き足せば、PAが読める1枚になります。返しの役割は返し(モニター)とはで解説しています。
セット図に必ず書く7つの情報
「何を書けばいいか分からない」を解決するために、これさえ埋めればOKな7項目にまとめました。
| # | 書く情報 | 具体例・ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 編成・人数・パート | Vo / Gt / Ba / Dr など。誰が何を担当するか |
| 2 | 立ち位置 | 客席目線で、各メンバーをステージ上のどこに置くか |
| 3 | アンプ(機種・持込/レンタル) | 「Gt.Amp(持込:JC-120)」のように機種と用意区分を明記 |
| 4 | ドラム構成 | 持込キットか、タム数、シンバルスタンドの本数など |
| 5 | マイク(Vo/Cho) | ボーカル・コーラスマイクの本数と位置 |
| 6 | モニター(返し)希望 | 返しを置く位置、「自分の声を多め」などの要望 |
| 7 | 電源・DI・IEM | 電源の必要口数、DIの本数、イヤモニ(IEM)使用の有無 |
作り方【スマホ・PC・手書き】徹底比較
セット図の作り方は大きく3通り。それぞれの長所・短所を正直にまとめます。
① スマホの専用ツールで作る(最速・いちばんおすすめ)
結論から言うと、初めてならスマホで動く無料の作成ツールが最速です。記号(演者・アンプ・マイク・返しなど)をドラッグで並べるだけなので、絵を描く必要がなく、修正・共有も一瞬。作ったらそのままPDF・画像・共有リンクでPAに渡せます。
- メリット:ゼロから描かなくていい/スマホだけで完結/リンクでメンバー・PAに即共有/使い回せる
- デメリット:ツールの操作に少しだけ慣れが必要(といっても数分)
② PCソフトで作る(Excel / Keynote / Pages / パワポ)
会社や学校のPCに慣れているなら、Excelやパワポ、MacのKeynote / Pagesの図形機能でも作れます。自由度は高い反面、スマホでサッと直せない・レイアウトを一から組む手間がかかります。ライブハウス指定のテンプレートがある場合は、それをダウンロードして使いましょう。
③ 手書きで作る
紙とペンでもOKです。バンドを始めたてなら手書きから入るのも悪くありません。ただし読み間違い・紛失・修正のしづらさ・共有のしづらさがネック。写真で送ると文字がつぶれて読めない、ということも起きがちです。
【編成別】セット図の記入例
「言葉だけだとイメージしづらい」という方へ。代表的な編成の配置例を、実際のセット図と同じ見た目で載せます(客席目線・下手=左/上手=右)。
4ピースバンド(Vo / Gt / Ba / Dr)の例
3ピース(Gt/Ba/Dr)なら中央のボーカルを外し、ギターかベースにボーカルマイクを寄せます。5ピース(+Key)なら、キーボードを下手寄りか上手寄りに1台足し、返しを1つ追加します。
弾き語り・アコースティックの例
【編成別】立ち位置の決め方——なぜその配置が「自然」なのか
「どこに立てばいいのか分からない」という声はとても多いのですが、立ち位置にはちゃんと理由のある“定番”があります。次の3原則を知っておけば、どんな編成でも自分で決められます。
- 動かせないものから決める。ドラムは奥中央、アンプは会場の定位置(ギター上手・ベース下手が多い)。人はその前に立つだけです。
- 全員がドラムを見られるか。テンポの基準はドラムなので、完全に背を向ける配置は避けます。体を少し内側に向ける前提で置きます。
- 中央の最前はボーカル。客席の視線とフロントの照明が集まる場所です。ここを空けると、お客さんの視線が散ります。
この3つを当てはめると、編成ごとの立ち位置は次のように整理できます(すべて客席目線。奥=ドラムはどの編成でも共通なので表からは省いています)。
| 編成 | 下手(左) | 中央 | 上手(右) |
|---|---|---|---|
| 3ピース | Ba | —(Voを兼ねる人を中央寄りに) | Gt&Vo |
| 4ピース | Ba | Vo | Gt |
| ツインギター4人 | Ba | Gt&Vo | リードGt |
| Key入り5人 | Key(前寄り)・Ba | Vo | Gt |
| サポート入り | 正式メンバーの位置は動かさず、サポートは上手か下手の端へ。名前の後ろに「(サポート)」と添える | ||
ツインギターの4人編成(Gt&Vo / Gt / Ba / Dr)
歌うギタリストが中央、リードギターが上手が定番です。注意点はアンプが2台になること。図の上でどちらが誰のアンプかを必ず書き分けてください。ここが曖昧だと、リハで回線を差し替えることになり、そのぶん自分たちの時間が削られます。
キーボード入り5人編成(Vo / Gt / Ba / Dr / Key)
キーボードは下手の前寄りが定番。スタンドの分だけ場所を取るので、間口の狭い箱では先に相談しておくと安心です。出力がモノラルかステレオか(=DIが1本か2本か)と電源が要ることを書き添えるのを忘れずに。同期(オケ)を流す場合の書き方はキーボード・同期入りバンドのセット図にまとめています。
サポートメンバーが入るとき
サポート(トラ)が入る場合も、正式メンバーの立ち位置は動かさないのが基本です。サポートは上手か下手の端に置き、パート名の後ろに「Gt(サポート)」のように添えます。PAは「この人は当日初めて合わせる人かもしれない」と分かるだけで、声かけや確認の仕方を変えられます。呼び方や依頼の実務はサポートメンバーとは(ギャラ相場と頼み方)で解説しています。
ほかの編成(弾き語り、アンプラグド、同期あり)の配置はバンド編成別セット図の作り方にまとめています。
マイク・DI・アンプの書き分け【早見表】
セット図でいちばん質問が多いのが、「マイクとDI、どっちで書けばいいの?」です。判断基準はシンプルで、その楽器の音を「空気から拾う」のか「ケーブルから直接もらう」のかだけ。次の早見表に当てはめれば迷いません。
| 楽器・機材 | 音の取り方 | セット図での書き方(例) |
|---|---|---|
| エレキギター | アンプにマイクを立てて拾う | Gt.Amp 会場 JC-120/集音マイクは書かなくてよい(PAが立てます) |
| エレキベース | アンプからライン(DI)が基本 | Ba.Amp 会場/DIを持ち込むなら備考に「DI持込」 |
| アコギ(PUあり) | DI(ライン) | A.Gt(DI×1) |
| アコギ(PUなし) | マイクで拾う | A.Gt(マイク録り)+スタンド1本 |
| キーボード | DI。モノラル=1本/ステレオ=2本 | Key(DI×2・要電源) |
| 同期・オケ | PC/MTR →オーディオIF →DI | 同期 PC+IF(DI×2)+クリックの扱いを備考へ |
| ボーカル | マイク | 串マーク+本数。持込なら「Vo(SM58 持込)」と型番まで |
| コーラス | マイク | Cho(マイク1本)+誰が担当するかを明記 |
| ワイヤレス | 送信機+受信機 | Vo ワイヤレス持込(受信機・要電源)+受信機の置き場所 |
マイクの書き方——記号・本数・スタンドの種類
マイクは「おでんの串」のような記号で表すのが一般的で、その位置にマイクとスタンドが1セット用意されます。つまり記号の数=用意してもらうマイクの本数です。歌う人の数だけ置きましょう。
スタンドは用途で種類が変わります。ボーカルはストレート(またはブーム)、ギターアンプの集音はショートブームが定番。座って演奏する人は、立奏用のストレートだと高さが合わないので「椅子あり・ブーム希望」と書き添えると親切です。種類の違いはマイクスタンドの種類と使い分けにまとめています。
持込マイクがある場合は、必ず型番まで書いてください(例:SM58/e935/β58A)。マイクによって音の特性も、必要な電源(コンデンサーマイクなら48V)も変わるため、型番が分かるだけでPAは事前に準備できます。
アンプの書き方——機種名と「持込/会場」、ヘッドとキャビは分ける
アンプで書くことは2つだけ、機種名と持込か会場(レンタル)かです。ライブハウスには常設アンプ(ギターならJC-120、ベースならAmpegなど)があるので、それを使うなら「会場」と書けば済みます。
見落としやすいのがベースアンプのヘッドとキャビ。「ヘッドだけ持込、キャビは会場のものを使う」というケースは多いので、ヘッドとキャビを分けて書くと一発で伝わります(例:「Ba.Amp ヘッドのみ持込/キャビは会場」)。ドラムも同じ考え方で、スネア・ペダル・シンバルなど持ち込むパーツだけを書き出します(→ドラムのセット図の書き方)。
DIそのものの意味が分からないときはDI(ダイレクトボックス)とはもあわせてどうぞ。
回線表(インプットリスト)は別紙で一緒に出す
セット図とセットで渡すとPAに喜ばれるのが、回線表(インプットリスト)です。「どのチャンネルに何の音を、どのマイク/DIで入れるか」を1行ずつ並べた一覧表で、当日の回線とマイクの本数を事前に用意できるため、立ち上げが劇的にスムーズになります。
セット図が“ステージの見取り図”なら、回線表は“音の入り口の一覧”。役割が違うので1枚に混ぜず、別紙にして2枚セットで送るのが基本です。Ch番号の振り方(ドラム→アンプ楽器→ボーカル)、ライン楽器のDI表記、48V(ファンタム)の要否といった書き方は、専用ページに記入例つきでまとめています。
PAへの渡し方・提出の流れ
作ったセット図は、次のいずれかでライブハウス/ブッキング担当に提出します。
- 共有リンク:URLを送るだけ。相手はアプリ不要で開けて、いちばん手軽
- PDF:印刷前提の会場や、正式な提出物として渡すとき
- 画像(PNG):LINEやメールにそのまま貼りたいとき
- 印刷:当日ステージ袖に貼る用に紙で
提出のタイミングは「本番の1週間前まで」を目安に。対バンや大きめの箱ほど早めが喜ばれます。編成やアンプが変わったら、必ず最新版を再提出しましょう。共有リンクなら、内容を直して同じURLを送り直すだけで済みます。
よくあるNG・失敗例と直し方
- ❌ 演者目線で左右が逆:→ 必ず客席目線(下手=左)で統一。
- ❌ 「アンプ」としか書いていない:→ 機種名と持込/レンタルを明記(例:Gt.Amp 持込 JC-120)。
- ❌ ワイヤレス・イヤモニの記載漏れ:→ 使うなら必ず書く。当日トラブルの最大要因。
- ❌ 手書きを写真で送って読めない:→ 文字がつぶれがち。デジタルで作るか、明るい場所で真上から撮影。
- ❌ 情報を詰め込みすぎ:→ 目的は「伝わること」。図はシンプルに、細かい要望は備考欄へ。
- ❌ 色を使いすぎる:→ 現場は白黒で印刷することが多く、色は潰れます。2色まで(例:黒=会場の機材/赤=持込)に絞ると、白黒でも読めます。
- ❌ ドラムを動かしたいのに「少し前へ」としか書いていない:→ 方向と距離(例:「ドラムを50cm手前へ」)まで書く。終演後に元へ戻す前提で書くと、なお通りやすいです。
- ❌ 読みづらいバンド名:→ 英字や当て字のバンド名はフリガナを添える。呼び出しやMCで間違われる事故を防げます。
- ❌ リハ直前に立ち位置・アンプを変更:→ 回線を組み直すことになり、転換時間=自分たちの本番準備の時間が削られます。変更が出たら、分かった時点で最新版を送り直しましょう。
逆に「書かなくていいもの」
網羅しようとするほど文字が小さくなり、肝心の配置が読めなくなります。次のものは書かないのが正解です。
- シールド・ACアダプター・エフェクター・楽器本体:演者が当然持参するもの。書いても情報が増えるだけです。
- ギターアンプに立てる集音マイク:PAが必要に応じて立てます。こちらから指定する必要はありません。
- セットリスト・音響への長い要望文:1枚に混ぜず、セットリストや回線表として別紙にします。
- 丁寧すぎる文章:備考欄は箇条書きで端的に。最後に「当日はよろしくお願いします!」と一言あれば十分です。
提出前チェックリスト
- 客席目線(下手=左・上手=右)で描けているか
- 全メンバーの立ち位置とパートが分かるか
- アンプの機種・持込/レンタルを書いたか
- マイク(Vo/Cho)の本数と位置は明記したか
- 返し(モニター)の位置・要望を入れたか
- ワイヤレス・イヤモニ・DI・電源の情報はあるか
- 持込マイクがあるなら型番まで書いたか
- アンプのヘッドとキャビを分けて書いたか(持込がある場合)
- 白黒で印刷しても読めるか(色は2色まで)
- バンド名・日付・連絡先を入れたか(読みづらい名前はフリガナも)
- PDF/リンクにして、読める形で送れる状態か
セット図を最速で作る方法
ここまで読んで「やっぱり一から作るのは大変そう…」と思った方へ。セット図くんなら、この記事で解説した内容がぜんぶ最初から用意されています。上手下手のステージ枠、演者・アンプ・マイク・返しの記号、編成のひな形、回線表、共有・PDF出力まで。登録不要・完全無料で、スマホの指だけで1分で仕上がります。