ドラムのセット図・セッティングの書き方【記入例つき】持ち込みとレンタルの伝え方
ドラマーがセット図に書くべきなのは、実はドラムの置き場所ではありません。ライブハウスのドラムはほぼ会場の備え付け(ハウスキット)で、置き場所も決まっているからです。伝えるべきなのは「何を持ち込んで、何を借りるか」。この記事では、その書き方を記入例つきで解説します。
結論:ドラマーが書くのは「配置」より「持込か、借りるか」
ギターやベースと違い、ドラムには立ち位置を考える余地がほとんどありません。ステージ奥の中央、もしくは少し上手寄りに最初から組まれているのが普通で、演者が動かすものではないからです。
そのぶん、ドラマーがセット図で伝えるべき情報ははっきりしています。
- 会場のドラム(ハウスキット)を使うのか——ほぼこれになります
- 自分で持ち込むパーツは何か——スネア・ペダル・シンバルが定番
- 特殊なセッティングはあるか——ツインペダル、左利き、タム追加など
ハウスキットに含まれるもの・含まれないもの
ライブハウスに備え付けられているドラムをハウスキットと呼びます。どこまで揃っているかは会場によりますが、標準的な範囲はだいたい共通しています。
| パーツ | ハウスキット | 補足 |
|---|---|---|
| キック(バスドラム) | ◎ ある | サイズは20〜22インチが一般的 |
| タム・フロアタム | ◎ ある | タム1つ+フロア1つの構成が標準。2タム希望は要確認 |
| スネア | ◯ あるが持込多数 | 音の要なので持ち込む人が最も多いパーツ |
| シンバルスタンド・ハイハットスタンド | ◎ ある | スタンド類はまず揃っています |
| シンバル本体 | △ 会場による | 備品があっても状態はまちまち。こだわるなら持込 |
| キックペダル | ◯ あるが持込多数 | 踏み心地が変わるため持ち込む人が多い |
| スローン(椅子) | ◎ ある | 高さは自分で調整します |
| スティック | ✕ ない | 必ず自分で持参。予備も含めて |
持ち込みの定番3つ——スネア・ペダル・シンバル
ドラマーが持ち込むものには、はっきりした優先順位があります。荷物を減らしたいときの判断材料にもなります。
① スネア(持ち込み率が最も高い)
ドラムの音のキャラクターを最も大きく左右するパーツで、持ち込むならまずここです。運搬もケース1つで済みます。セット図には「Sn 持込」と書くだけで伝わります。
② キックペダル
踏み心地は個人差が大きく、慣れたペダルの方が確実に演奏しやすくなります。ツインペダルの場合は必ず申告してください。セッティングに時間がかかり、転換の段取りに影響します。
③ シンバル
こだわりがある場合や、備品の状態が読めない場合に持ち込みます。ただし枚数が増えるほど転換が遅くなるので、対バン形式では絞るのが現実的です。持ち込むならライドだけ、クラッシュ1枚だけという選び方もあります。
セット図でのドラムの書き方(記入例)
実際の書き方はとてもシンプルです。持ち込むパーツだけが分かればいいので、図の中で区別できるようにしておきます。
バンド全体のセット図では、ドラムは「Dr」と書いた円ひとつで表すのが普通です。そのうえで、余白か備考欄に持ち込みを書き添えます。
| 状況 | 備考欄への書き方 |
|---|---|
| すべて会場のものを使う | ドラムはハウスをそのままお借りします |
| スネアとペダルを持ち込む | Dr:スネア・キックペダルのみ持込。他はハウスをお借りします |
| ツインペダルを使う | Dr:ツインペダル持込。スネアも持込。セッティングに5分ほどいただきます |
| 2タムを希望する | Dr:タム2つ希望(可能であれば)。難しければ1タムで対応します |
| 左利きセッティング | Dr:左利きセッティング(オープンハンドではなく完全に左右反転) |
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ツインペダル・左利き・変則セッティングの伝え方
標準から外れるセッティングは、事前に伝えておかないと当日ほぼ確実に揉めます。理由は、時間がかかるからです。
| セッティング | 影響 | 伝え方 |
|---|---|---|
| ツインペダル | 設置と撤収に各3〜5分 | 持込を明記し、転換時間への影響を一言添える |
| 左利き(完全反転) | キット全体の組み直しが必要で10分以上かかることも | 最優先で事前連絡。出番の順番調整が必要になる場合があります |
| オープンハンド | ほぼ影響なし | キットは標準のままなので、特に申告不要 |
| タム追加・シンバル増設 | スタンドの本数が足りない可能性 | 必要なスタンド数まで書いておくと確実 |
| 電子パッド・SPD等の併用 | 電源とDIが必要 | 電源の口数とDI本数を必ず記載。ここが最も抜けます |
転換を早くするドラムの準備
ドラムは転換のボトルネックになりやすいパートです。準備の仕方だけで体感が変わります。
- スネアはケースから出しておく——自分の出番前に、袖でスタンドに載せられる状態にしておきます
- ペダルはあらかじめ組んでおく——ツインペダルは特に。現場で組み始めると数分持っていかれます
- シンバルは順番に重ねておく——使う順に重ねておくと、置きながら考えずに済みます
- スティックは複数本セットしておく——落としたとき用に、フロアタム脇に立てておくのが定番です
- 撤収も同じ速さで——次の演者が待っています。自分の持込だけ素早く回収して袖へ
転換全体の流れは転換とはで解説しています。当日のタイムテーブル全体を把握しておきたい方はライブハウス初出演の流れもあわせてどうぞ。
マイキングとの関係——PAに伝わる書き方
ドラムはマイクの本数が最も多いパートで、キック・スネア・ハイハット・タム・オーバーヘッドで7本前後立てるのが標準です。マイクは基本的に会場のものを使うので、セット図に型番まで書く必要はありません。
ただし、次のケースだけは回線表に反映されるので書いておきます。
- タムの数が標準と違う——マイクの本数とCh数が変わります
- 電子パッドを併用する——ラインで受けるためDIとChが必要です
- キックにミュートを入れている/穴なしのキックを持ち込む——マイクの立て方が変わります
マイクの立て方そのものに興味がある方はドラムのマイキングで詳しく解説しています。中音・外音の考え方は中音と外音をどうぞ。
まとめ
- ドラマーがセット図に書くのは配置ではなく「持込か、借りるか」
- ライブハウスのドラムはハウスキットが基本。スティック以外はだいたい揃っています
- 持ち込みの定番はスネア・ペダル・シンバル。対バンならスネアとペダルだけが現実的
- ツインペダル・左利き・2タム・電子パッドは必ず事前申告。転換時間に直結します
- 備考は「可能であれば」「難しければ〜で対応します」と代案つきで書くと話が早い