IEM(イヤモニ)とは?仕組み・返しとの違い・ライブハウスで使うときの書き方
プロのステージで演者が耳に着けているIEM(イヤモニ)。結論から言うと、耳に直接モニターの音を送る「自分専用の返し」です。この記事では、IEMの仕組み(送信機と受信機)、返し(ウェッジ)との違い、メリットと注意点、そしてアマチュアバンドがライブハウスに持ち込むときの実務とセット図・回線表への書き方まで、やさしく解説します。
結論:IEM(イヤモニ)とは「耳に入れる自分専用の返し」
IEM(アイイーエム)とは、In-Ear Monitor(インイヤーモニター)の略で、通称イヤモニ。ステージ上の演者が、自分の声や演奏(モニターの音)をイヤホンで直接聞くためのシステムです。
従来は足元の返し(ウェッジモニター)から大音量で音を返していましたが、IEMなら周りの爆音を遮断して、必要な音だけを適切な音量で耳に届けられます。プロの現場では標準になりつつあり、最近はアマチュアでも使う人が増えています。
仕組み:音はどうやって耳まで届く?
IEMシステムは、大きく3つの要素でできています。
| 要素 | 役割 |
|---|---|
| ① モニターミックス | PAミキサーで「その人用」に音のバランスを作る(返しと同じ) |
| ② 送信機(トランスミッター) | 作った音を電波で飛ばす。ステージ袖や機材ラックに設置 |
| ③ 受信機(ボディパック)+イヤホン | 腰のベルトなどに着けた受信機で受け、イヤホンで聞く |
これはワイヤレス型の構成です。ほかに、ケーブルでヘッドホンアンプにつなぐ有線型もあり、動き回らないドラマーやキーボーディストなら有線で十分。機材もぐっと安く済みます。
イヤホン自体は、市販イヤーピースのユニバーサル型と、耳型を採って作るカスタム型(カスタムIEM)の2種類。まずはユニバーサル型(遮音性の高いもの)からで大丈夫です。
メリットと注意点
IEMが広がっているのには理由があります。代表的なメリットは3つ。
- ✅ 耳を守れる(難聴予防):爆音の返しを浴び続けなくてよい。音量を自分で管理できる
- ✅ どこでも同じ音で聞ける:返しの前から離れても音が変わらない。動き回るボーカルに最適
- ✅ 中音が減ってハウリングに強い:ステージ上のスピーカーが減るぶん、マイクへの回り込みが減り、外音(客席の音)もクリアになる
一方で、注意点もあります。
- ⚠️ 遮音されすぎて「孤立感」がある:客席の歓声が聞こえにくい。プロは客席の音を拾う専用マイク(アンビエンス)を混ぜて解決している
- ⚠️ 費用と管理:ワイヤレスは送信機・受信機・電池・電波(周波数)の管理が必要
- ⚠️ 会場側の対応:小さなライブハウスでは回線数やPAの運用に限りがあり、事前連絡なしでは対応できないことが多い
返し(ウェッジ)との違い 早見表
| 返し(ウェッジ) | IEM(イヤモニ) | |
|---|---|---|
| 音の届き方 | 足元のスピーカーから空間へ | イヤホンで耳へ直接 |
| 聞こえる場所 | スピーカーの前だけ | ステージ上のどこでも |
| 音量・耳への負担 | 大きい(中音が上がりがち) | 自分で調整できる・耳を守れる |
| ハウリング | 起きやすい | 起きにくい |
| 準備 | 会場の備品だけでOK | 持込機材+事前連絡が必要 |
どちらが上、ではなく併用が普通です。バンド全員をIEMにする必要はなく、まずは「ボーカルだけIEM、他は返し」のようなハイブリッドが現実的です。
ライブハウスで使うには(持込の実務)
アマチュアがライブハウスでIEMを使うときの段取りは、この4つです。
- 出演が決まったら早めに会場へ連絡——「IEMを持ち込みたい」と伝え、対応可能か確認。当日いきなりはNG。リハ時間内に対応しきれず、結局使えないことも
- 持込機材を伝える——送信機の機種名、ワイヤレスか有線か、必要な回線(モニター送り)の数
- ワイヤレスなら電波の確認——ワイヤレス機器は使用できる周波数帯に決まりがあり、会場の他の機器との干渉もあり得ます。機種名を伝えてPAに確認してもらうのが確実
- セット図・回線表に明記——次の章のとおり書けば、当日の説明はほぼ不要
セット図・回線表への書き方
IEMについて演者が書くべきことは、これだけです。
- セット図:使う人のそばに「Vo:IEM(持込・ワイヤレス)」のように書き、送信機の置き場所(例:下手袖・要電源)も記号で示す
- 返しの要否:IEMを使う人の足元の返しを「無し」にするか「併用」かを明記(例:Vo返し不要)
- 回線表:備考に「IEMへモニター送り1系統希望」、ワイヤレスなら機種名、有線なら「ステージ内にヘッドホンアンプ持込」など
これでPAは、モニター送りの系統数・接続・電源を当日までに準備できます。回線表全体の書き方はインプットリスト(回線表)の書き方を、セット図の基本はセット図の作り方・書き方【完全ガイド】をどうぞ。