中音・外音とは?ライブでの意味と読み方・リハでの中音の作り方・PAへの伝え方の例文まで解説
「客席では歌が全然聞こえなかったよ」——ライブ後に友人からそう言われて驚いた経験はありませんか?ステージの上では完璧なバランスだったのに。その原因が中音(なかおと)と外音(そとおと)の違いです。結論から言うと、中音=ステージ上で演者が聴いている音、外音=メインスピーカーから客席に届く観客用の音。この2つは別物で、演者が本番中に聴けるのは中音だけです。この記事では、音の仕組みから、リハーサルでの中音の作り方、PAさんへの伝え方の例文、「中音爆音」が嫌われる理由まで、ライブの音の必修知識をまとめて解説します。
- 結論:中音=演者が聴く音、外音=観客が聴く音
- 読み方と使い方——リハで必ず飛んでくる「中音どうですか?」
- なぜ「中」と「外」に分かれる?——ライブハウスの音の仕組み
- 中音の中身——生音+返し+跳ね返りの「混ぜもの」
- 外音の中身——PAがつくる「作品」。演者は聴けない
- リハーサルでの中音の作り方——4ステップ
- PAへの伝え方——そのまま使えるオーダー例文集
- アンプの音量と外音——「中音爆音」が嫌われる理由
- 中音の定番トラブル5つと対処法
- 会場規模別の中音・外音——小箱と野外では別世界
- イヤモニ(IEM)だと何が変わる?
- 中音の要望は「事前に・書面で」——セット図・回線表の出番
- まとめ:中音は自分たちで作り、外音はPAに預ける
- よくある質問(FAQ)
結論:中音=演者が聴く音、外音=観客が聴く音
中音(なかおと)とは、ステージの上で演者が聴いている音のこと。外音(そとおと)とは、メインスピーカーから客席に向けて出る、観客が聴く音のことです。同じライブでも、ステージの内側と外側ではまったく違う音が鳴っています。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 中音(なかおと) | ステージ上で演者が聴いている音。生音+返しの音+外音の跳ね返りの混合 |
| 外音(そとおと) | メインスピーカーから客席に届く音。PAがミックスした観客用の完成形 |
| 生音(なまおと) | アンプやドラムから直接出ている、スピーカーを通らない音 |
| 返し(モニター) | 演者に向けて音を返すスピーカー。中音をつくる要 |
ポイントは、演者は本番中、外音をほぼ確認できないこと。だからこそ「中音をどう作るか」と「外音を誰に任せるか」の理解が、ライブの音を決めます。
読み方と使い方——リハで必ず飛んでくる「中音どうですか?」
読み方は「中音=なかおと」「外音=そとおと」。「ちゅうおん」「がいおん」とは読みません(「ちゅうおん」と読むと音域の中音域の意味になります)。リハーサルでは次のように使われます。
| 場面 | 例文 |
|---|---|
| PA→演者 | 「中音どうですか?足りないものあれば言ってください」 |
| 演者→PA | 「中音はOKです。外音はお任せします」 |
| 観客・共演者の感想 | 「今日の外音めちゃくちゃ良かったね」 |
| 反省会 | 「中音を上げすぎて、外音がぐちゃぐちゃになってたらしい」 |
なぜ「中」と「外」に分かれる?——ライブハウスの音の仕組み
ライブハウスのメインスピーカーは、ステージの左右(客席側)に設置され、客席の方を向いています。つまり演者は、メインスピーカーの後ろ側・音の死角に立っている状態。観客に届いている音が、演者にはほとんど聞こえません。
そのままでは自分の歌も他のパートも聞こえず演奏できないため、演者専用のスピーカー=返し(モニター)がステージ床に置かれ、必要な音を演者に「返して」くれます。この返しでつくる音こそが中音です。
音の流れを整理すると——各楽器・マイクの音はDIやマイクを通っていったんPA卓に集まり、①客席向けにミックスされてメインスピーカーへ(=外音)、②演者向けに別ミックスで返しへ(=中音の材料)、と2系統に分配されています。
中音の中身——生音+返し+跳ね返りの「混ぜもの」
中音は返しの音だけではありません。実際には3つの音が混ざっています。
- ① 生音——ドラムの生音、ギター・ベースアンプから直接出る音。小さいライブハウスでは中音の主成分
- ② 返しの音——PAが演者向けに返してくれる音。ボーカルなど「生音では聞こえないもの」を補う
- ③ 外音の跳ね返り——メインスピーカーの音が壁や天井に反射して戻ってくる成分。会場によって量が変わる
そして重要なのが、中音は立ち位置ごとに全員違うということ。ドラマーの中音とボーカルの中音は別物です。だからリハでは、PAが1人ずつ「何を返してほしいか」を聞いてくれるのです。
外音の中身——PAがつくる「作品」。演者は聴けない
外音は、PAエンジニアが卓で全パートのバランス・音質・音圧を整えた観客用の完成形ミックスです。そして構造上、演者はステージの上から外音を確認できません。リハ中に一度フロアに降りて聴く以外、本番中の外音は完全にPA任せです。
だからこそ大原則は「中音は必要最小限、外音はPAを信じて預ける」。ステージ上の音量が上がるほどPAのコントロールできる余地が減り、外音は濁っていきます。本番の音を良くする最大のコツは、実は「PAが仕事をしやすい状態を渡すこと」なのです。
リハーサルでの中音の作り方——4ステップ
対バン形式なら、リハは逆リハ(出演順の逆から)で行われるのが基本。サウンドチェックの流れの中で、中音は次の手順で作っていきます。
- ① パートごとの音出し——ドラム→ベース→ギター→キーボード→ボーカルの順が定番。PAが各楽器の音を卓で確認する
- ② 返しの要望を伝える——「返しにボーカルください」など、自分の演奏に必要な音だけをリクエスト。全部返すと結局何も聞こえなくなる
- ③ 曲を合わせてバランス確認——1曲(または1コーラス)演奏しながら、足りない音・大きすぎる音を微調整
- ④ 立ち位置で最終確認——返しは狭い範囲にしか届かない。本番で立つ位置で聞こえ方をチェックする
PAへの伝え方——そのまま使えるオーダー例文集
要望は「どの返しに・何を・どうしてほしいか」の3点セットで伝えると一発で通じます。
| 状況 | 例文 |
|---|---|
| 歌が聞こえない | 「返しにボーカルください」「ボーカルもう少し大きめでお願いします」 |
| 特定の楽器がほしい | 「上手の返しにキーボード足せますか?」 |
| 大きすぎる | 「返しのギター、少しだけ下げてください」 |
| 返しが不要 | 「ベースはアンプの生音で足りてます。返しはボーカルだけで大丈夫です」 |
| 同期・クリック使用 | 「クリックはドラムの返しだけにお願いします(客席には出さないでください)」 |
| ハウリングが不安 | 「さっきハウったので、返しの高い成分を少し抑えられますか?」 |
| 問題なし | 「中音OKです、ありがとうございます。外音はお任せします」 |
| 本番中に調整したい | (返しを指差して上げ下げのジェスチャー+口の動きで「ボーカル」など) |
専門用語を無理に使う必要はありません。「自分の位置で、何が聞こえなくて困っているか」を具体的に言えれば、PAはプロなので必ず解決してくれます。
アンプの音量と外音——「中音爆音」が嫌われる理由
ライブハウスでよく聞く「中音爆音(なかおとばくおん)」という言葉。ステージ上の生音——特にギターアンプ——が大きすぎる状態を指し、PAからもっとも嫌われるパターンです。理由は明確で、
- 生音は卓で下げられない——アンプから直接客席に飛ぶ音は、PAのフェーダーを下げても消えない
- 外音のバランスが崩壊する——「ギターだけ爆音で歌が埋もれたライブ」の正体はほぼこれ
- 他のマイクに回り込む——ボーカルマイクがギターの音を拾い、音がどんどん濁る
対策はシンプルで、アンプの音量は「ステージ内で自分たちが演奏できる最小限」に抑え、客席に届ける音量はマイクで拾ってPAに任せること。小さい会場ほど「ステージの音量=そのまま外音」になることを覚えておきましょう。音圧が欲しいときこそ、アンプではなく外音で稼ぐのが正解です。
中音の定番トラブル5つと対処法
| トラブル | 対処 |
|---|---|
| 自分の音が聞こえない | 返しに足してもらう前に、アンプの向き・位置を見直す(耳の高さに向ける・少し離れる)だけで解決することも多い |
| ハウリングする | 返しとマイクの位置関係が原因のことが多い。ハウリングの仕組みと対策を参照 |
| 音がだんごで分離しない | 返してもらう音を減らす・中音全体を下げる。足し算でなく引き算で解決する |
| 会場ごとに毎回違って戸惑う | 正常です。中音は会場の広さ・天井の高さ・返しの数で毎回変わるもの。「最低限これだけあれば演奏できる」型を自分の中に作っておく |
| 音が大きすぎて耳が疲れる | 遠慮なく「全体的に下げてください」と言ってOK。長期的には耳栓(ライブ用イヤープロテクター)やイヤモニの検討を |
会場規模別の中音・外音——小箱と野外では別世界
| 会場 | 中音・外音の特徴 |
|---|---|
| 小箱(〜100人) | 生音の比重が最大。ステージの音がほぼそのまま外音に混ざるため、アンプ音量のコントロールが命 |
| 中箱(100〜500人) | PAのコントロール比重が上がる。中音と外音の分離が進み、返しの作り込みが効いてくる |
| ホール・大箱 | 外音はほぼ100%PAの音。ステージが広く生音が届きにくいため、返し(またはイヤモニ)への依存度が最大になる |
| 野外・フェス | 壁がないため跳ね返りがゼロ。音が飛んでいく独特の感覚になり、返しがないと隣の音すら聞こえないことも。リハなし(ラインチェックのみ)も多く、要望は先に書面で伝えるのが鉄則 |
イヤモニ(IEM)だと何が変わる?
イヤモニ(IEM)は、返しスピーカーの代わりに耳の中に中音を作る仕組みです。遮音された耳に必要な音だけをステレオで流せるため、中音の悩みの多く——ハウリング・会場ごとの聞こえ方の差・爆音による耳の疲労——が一気に解決します。
一方で、外音の跳ね返りや客席の歓声も遮音されるため、会場の空気から切り離される感覚には慣れが必要。ボーカルだけイヤモニ・他は返しというハイブリッド運用が現実的な落とし所です。使う場合は、送信機の置き場所と電源をセット図に書いておきましょう。
中音の要望は「事前に・書面で」——セット図・回線表の出番
リハの時間は1バンド20〜30分。当日その場で要望を伝えるより、事前にセット図・回線表(PA表・インプットリスト)に書いて送っておく方が、PAは仕込みの段階から準備でき、リハは確認だけで済みます。
- セット図の各返しの近くに「Vo多め」「Cl(クリック)はDrのみ」のように書き添える
- 同期・イヤモニ・持込機材があるなら、回線表に本数と送り先を明記する
- 「外音はお任せします」の一言を添えると、PAとの信頼関係がスムーズに始まる
まとめ:中音は自分たちで作り、外音はPAに預ける
- 中音=ステージ上で演者が聴く音(生音+返し+跳ね返り)、外音=客席に届く観客用の音。読み方は「なかおと」「そとおと」
- メインスピーカーは客席向きのため、演者は本番中、外音を確認できない
- リハでは「どの返しに・何を・どうしてほしいか」の3点セットで伝える。中音は必要最小限が鉄則
- 「中音爆音」は外音を壊す。アンプはステージ内で聞こえる最小限にし、音圧は外音で稼ぐ
- 返しの要望はセット図・回線表に書いて事前共有すると、リハが確認だけで済み、本番の音が良くなる