サウンドチェック・リハーサルの流れ【初心者向け】持ち時間の目安・順番・PAへの伝え方
ライブ当日のリハーサル(サウンドチェック)。結論から言うと、流れは「セッティング→楽器ごとのチェック→全体で音出し→曲リハ→中音の最終確認」の5ステップ、持ち時間は対バン形式ならセッティング込みで20〜30分が相場です。この記事では、当日のタイムテーブルと逆リハ、楽器別に何を演奏すればいいか、モニター(返し)の頼み方フレーズ、リハを最速で終わらせる事前準備まで、初めてのライブでも迷わないように解説します。
結論:リハーサルの流れは5ステップ
ライブハウスのリハーサルは、どの会場でもほぼこの順番で進みます。
- セッティング——機材を組んで、音が出る状態にする
- 楽器ごとのサウンドチェック——ドラム→ベース→ギター→キーボード→ボーカルの順が定番
- 全体で音出し——バンド全員で合わせてバランスを確認
- 曲のリハーサル——要所だけ演奏して立ち位置・展開を確認
- 中音(モニター)の最終確認・メモ——返しの調整とセッティングの記録
サウンドチェックとは?確認するのは4つ
サウンドチェックの目的は、演奏の練習ではなく「本番と同じ音」を会場で作ること。確認するのはこの4つです。
- 中音(なかおと):ステージ上で演者が聞く音。返し(モニター)のバランスを自分たちで決める
- 外音(そとおと):客席に聞こえる音。ここはPAさんにお任せでOK
- 機材と回線:マイク・DI・アンプがちゃんと音が出るか、回線表どおりつながっているか
- 立ち位置と照明:どこで演奏するか、SEでの登場のタイミングなど
リハで飛び交う用語は、この6つを覚えておけば困りません。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| PA | 音響スタッフ・音響設備のこと。リハの進行役 |
| SE | 登場時に流れる音源・効果音 |
| 返し | ステージ上の演者向けスピーカー(モニター)。詳しくは返しとは |
| 中音/外音 | ステージ上の音/客席の音 |
| 逆リハ | 出演順と逆の順番でリハをすること(後述) |
| ワンコーラス | 曲の1番だけ(Aメロ〜サビ)演奏すること |
持ち時間の目安と当日のタイムテーブル
対バン形式(ブッキングライブ)のリハは、1組あたりセッティング込みで20〜30分が相場。機材の設置と撤収を差し引くと、実際に音を出せるのは15分程度です。オケ音源で歌う出演者や弾き語りは10〜20分と短めになります。
当日の流れはおおよそこうなります(4組の対バンの例)。
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 14:00 | 会場入り・受付・機材搬入 |
| 14:30 | リハ①=トリ(最後に出演)のバンド |
| 15:00 | リハ②③④=出演順の逆に続く |
| 16:30 | リハ終了・楽屋待機 |
| 17:30 | 開場(客入れ) |
| 18:00 | 開演——1番手から本番 |
リハが出演順と逆に進むのが「逆リハ」です。理由はシンプルで、最後にリハをした1番手のセッティングをそのまま残して本番に入れるから。転換(バンドの入れ替え)が最小になります。転換の基本は転換とはをどうぞ。
5ステップの詳細——楽器別に「何を演奏するか」
① セッティング
アンプ・ドラム・マイクを配置して音が出る状態にします。セット図を事前提出していれば、会場側でマイクやスタンドの仕込みが進んでいるので、ここが一気に短縮できます。全員の準備ができたら、PAさんに「セッティングOKです」と伝えましょう。
② 楽器ごとのサウンドチェック
PAさんの進行で、1人ずつ音を出して確認します。ドラム→ベース→ギター→キーボード→ボーカルの順が定番。「何を演奏すればいいの?」に迷ったら、この表のとおりで大丈夫です。
| パート | 演奏する内容 |
|---|---|
| ドラム | キック→スネア→タム類→ハイハット→シンバルの順に単体で数発ずつ→最後に8ビートで全体を叩く |
| ベース | 低い弦から高い弦までまんべんなく。本番で使う音色(指弾き/ピック/スラップ)で |
| ギター | 本番で使う音色を全部——クリーンと歪みは必ず両方。音量差もこの場で確認 |
| キーボード | 使う音色をひと通り。ステレオ/モノラルの確認と、音色ごとの音量差も |
| ボーカル | 本番と同じ声量でワンコーラス歌う。小声のテストでは本番にハウリングの原因に |
③ 全体で音出し
バンド全員で合わせて演奏し、全体のバランスを確認します。全部の楽器が鳴る曲のワンコーラス(サビを含む部分)を選ぶのがコツです。
④ 曲のリハーサル
全曲を通す時間はありません。「1曲目のアタマ(SEからの入り)」「転換の難しい曲のつなぎ」「いちばん激しい曲のサビ」など、本番で不安な要所だけを選んで確認します。どこをやるかはバンド内で事前に決めておくと迷いません。
⑤ 中音の最終確認・メモ
返しの聞こえ方を最終調整したら、アンプのツマミ位置・モニターのバランスをメモ(スマホで写真)しておきます。転換で一度バラしても、本番前に同じ状態を再現できます。
モニター(返し)の頼み方——PAへの伝え方フレーズ
リハで一番大事なコミュニケーションが中音のリクエストです。コツは「どの返しに」+「何を」+「大きく/小さく」の3点セットで伝えること。
- 「ボーカルの返しに、歌をもう少し大きくください」
- 「ギターの返し、ベースを少し下げてください」
- 「ドラムの返しに、クリック(同期)をください」
逆に「いい感じにしてください」「なんか変です」はPAさんが動けない代表例。何がどう聞こえないのかを具体的に言えばOKです。中音の考え方は返し(モニター)とはで詳しく解説しています。
リハを最速で終わらせる事前準備チェックリスト
持ち時間20〜30分のうち、セッティングと説明に取られる時間を減らせば、そのぶん音作りに使えます。前日までにこれだけ準備しておきましょう。
- セット図と回線表を事前提出——当日の口頭説明がほぼゼロになる、最強の時短
- セットリストを提出——SE・転換・照明の指示もセトリに書いておく
- リハでやる曲(箇所)をバンド内で決めておく——「1曲目のアタマとラストのサビ」など
- チューニング・弦交換は楽屋で済ませる——ステージ上でやると数分ロス
- シールド・電池・ピックの予備を用意——トラブルの大半は消耗品
- 持込機材と借りる機材を整理——対バンなら対バンのセット図・提出マナーも確認
リハーサルのマナーと注意点
- 他のパートのチェック中に音を出さない——チェック対象の音が聞こえなくなる、一番嫌われる行為
- 時間厳守——リハが押すと後続バンドと開場時間にしわ寄せ。入り時間にも遅れない
- PAさん・スタッフに挨拶——本番の音を一緒に作る仲間。指示にははっきり返事を
- リハ後のステージは元に戻す——機材を片付け、次のバンドがすぐ使える状態に
- 会場の機材を勝手にいじらない——アンプ・卓・モニターの設定はPAの管理領域。変えたいときは必ず一声
リハなし(ラインチェックのみ)の場合
フェスや出演者の多いイベントでは、リハがなく本番直前の「ラインチェック」(各回線の音が来ているかだけの確認)で始まることもあります。
このとき唯一の頼りになるのが、事前に提出したセット図と回線表です。配置・回線・モニター希望が紙1枚で伝わっていれば、リハなしでも本番の音は作れます。逆に何も出していないと、ぶっつけ本番で中音はほぼ運任せになります。