逆リハ・順リハとは?意味と違い・なぜ逆リハが基本なのか・当日の時間の使い方まで解説
ライブ当日の進行表にある「本日は逆リハです」の一言。結論から言うと、逆リハ=本番の出演順とは逆の順番でリハーサルを行う方式のことです。トリのバンドが最初にリハをして、一番手(トッパー)が最後にリハをします。反対に本番と同じ順番で行うのが順リハ。この記事では、2つの違い・なぜ逆リハが基本なのか・時間の使い方・出演順ごとの有利不利まで、演者目線で解説します。
結論:逆リハ=出演順と「逆」にリハをする方式。順リハとの早見表
逆リハとは、本番の出演順とは逆の順番でリハーサル(サウンドチェック)を行う方式のことです。5組出演なら、リハは5番手(トリ)→4番手→3番手→2番手→1番手(トッパー)の順に進みます。読み方は「ぎゃくりは」。まずは関連する言葉を整理しましょう。
| 用語 | 意味 | リハの順番(5組の場合) |
|---|---|---|
| 逆リハ | 本記事のテーマ。出演順の逆にリハを行う。ライブハウスの対バンではこれが基本 | 5→4→3→2→1 |
| 順リハ | 本番と同じ順番でリハを行う。フェスや出演者の多いイベントで採用されやすい | 1→2→3→4→5 |
| 変則リハ | 両者の折衷。2番手以降を順番に回し、一番手を最後にするのが典型 | 2→3→4→5→1 |
| サウンドチェック | リハーサルそのもの(音出し・音作り)を指す言葉。逆リハ・順リハはその「順番」の呼び名 | — |
| ゲネプロ | 本番同様に通す最終総合リハ。演劇・ホール公演で使う言葉で、対バンのリハとは別物 | — |
つまり逆リハ・順リハは「リハで何をするか」ではなく「どの順番で回すか」の話です。リハの中身(セッティング→楽器ごとのチェック→全体の音出し→返しの調整)は、どちらの方式でも変わりません。中身の流れはサウンドチェック・リハの流れで解説しています。
なぜ逆リハが基本なのか——「一番手のセットを残せる」から
逆リハが採用される理由は、突き詰めると「開場から開演までの間に、機材の入れ替えをしなくて済む」この一点です。
リハを逆順で回すと、最後にリハをしたのは一番手です。そのまま楽器・アンプ・マイクの位置を動かさずにおけば、開場(お客さんを入れる)→開演と進んで、一番手はリハのセッティングのまま1曲目を始められます。
もしこれが順リハだと、最後にリハをしたのはトリ。ステージにはトリのセッティングが残っているので、開場前に一度バラして一番手のセットを組み直す作業が発生します。開場〜開演の30分はスタッフが受付・物販・場内対応で最も忙しい時間帯。ここに転換を1回増やさない、というのが逆リハの合理性です。
| 逆リハで得られるもの | 内容 |
|---|---|
| 転換を1回減らせる | 開場〜開演の間にステージを組み直す必要がない。進行が押しにくくなる |
| 一番手の音が安定する | 直前に作った音・返しのバランスがそのまま本番に乗る |
| PA・照明の手戻りがない | 卓のフェーダー位置やシーンを一番手用のまま開演を迎えられる |
| トリは早く自由になる | リハが最初に終わるので、その後は本番までの時間を自分たちのペースで使える |
逆リハ・順リハ・変則リハの比較表
どの方式にも一長一短があります。主催者は会場の構造・出演組数・入り時間の都合で選んでいます。
| 視点 | 逆リハ | 順リハ | 変則リハ |
|---|---|---|---|
| 開演直前の転換 | 不要(一番手のセットが残る) | 必要(トリ→一番手に組み直し) | 不要 |
| 一番手の拘束時間 | 長い(最後までリハを待つ) | 短い(終わり次第いったん外出も可) | 長い |
| トリの拘束時間 | 長い(最初にリハ→本番まで待機) | やや短い | やや短い |
| 本番の流れの予行 | できない | 本番と同じ並びで確認できる | ほぼできる |
| 音の再現性 | 一番手が有利、トリは時間が空く | トリが有利、一番手は時間が空く | 一番手が有利 |
| 向くイベント | ライブハウスのブッキング・対バン(4〜6組) | フェス・サーキット・学園祭・出演組数が多いイベント | 出演者の移動事情がある場合 |
近年は「全組を朝から夕方まで拘束するのは重い」という理由で、順リハや変則リハを採用するイベントも増えています。どちらになるかは当日の香盤表・タイムテーブルで確認しましょう。
リハは1組何分?——時間の内訳と当日タイムライン
ライブハウスの対バンなら、1組あたりのリハは20〜30分(セッティング・撤収込み)が相場です。本番30分ステージなら、その半分〜同程度と考えておけば大きくは外しません。
| 工程 | 目安 | やること |
|---|---|---|
| ①セッティング | 5〜8分 | 機材を配置し、シールド・DI・マイクをつなぐ。ここが速いバンドはリハ全体が速い |
| ②楽器ごとのチェック | 5〜8分 | ドラム(キック→スネア→タム→シンバル)→ベース→ギター→キーボード→ボーカルの順が定番 |
| ③全体で音出し | 3〜5分 | 全員で1曲のサビなど盛り上がる場所を演奏。外音・中音のバランスを取る |
| ④返しの最終調整 | 2〜4分 | 「ボーカルもう少しください」など、演奏したまま要望を伝える |
| ⑤撤収・確認 | 2〜5分 | 順リハなら片付け、逆リハで一番手ならそのまま置いていく |
開演18:00・5組・逆リハのブッキングライブなら、当日の流れはおおむね次のようになります。
| 時刻 | 進行 |
|---|---|
| 14:00 | 全出演者が会場入り(入り時間は全組同じに指定されることが多い)・搬入・受付に取り置きリスト提出 |
| 14:30 | リハ開始。5番手(トリ)から |
| 15:00 / 15:30 / 16:00 | 4番手 → 3番手 → 2番手 |
| 16:30 | 1番手(トッパー)のリハ。終わったら機材はそのまま置いておく |
| 17:00 | スタッフ打ち合わせ・場内整備・物販設営 |
| 17:30 | 開場 |
| 18:00 | 開演。1番手はリハのセッティングのままステージへ |
出演順ごとの有利・不利(逆リハの場合)
逆リハでは、出演順によって「リハから本番までの待ち時間」が大きく変わります。自分の立ち位置を把握しておくと、当日の過ごし方が変わります。
| 出演順 | リハの位置 | 特徴と対策 |
|---|---|---|
| 1番手(トッパー) | 最後 | リハ→本番が最短で音の条件は最良。ただしリハ待ちは最長なので、チューニングと弦交換は待機中に済ませておく |
| 中盤(2〜3番手) | 中盤 | リハからも本番からも距離があり、いちばん間延びしやすい。ウォームアップの時間を自分で作る |
| トリ | 最初 | リハから本番まで4〜5時間空くのが普通。冷えた体と冷えた耳のまま出ないよう、直前のストレッチと音出しを計画に入れる |
順リハが選ばれるのはどんなとき?
ライブハウスの対バンでは逆リハが基本ですが、次のようなイベントでは順リハ(または変則リハ)が選ばれます。
- 出演組数が多いイベント——8組・10組と出るイベントで全員を朝から拘束するのは非現実的。順リハなら早い出番の組から順に解放できる
- フェス・サーキット——出演者が複数会場を移動する、機材が共通、転換が専門スタッフ、といった事情で本番同様の順番が合理的
- 学園祭・文化祭——授業や設営の都合で朝から順に回すことが多い(軽音・文化祭のセット図)
- ホール公演・イベント要素の強い企画——照明・映像・転換の段取りを本番の並びで確認したい場合
- ラインチェックのみ——大型イベントでは各組のリハ自体を行わず、転換中に音の確認だけ済ませる形式もある
順リハで一番手になったら、リハが終わっても機材は自分で片付けるのが基本です(次の組がセッティングするため)。そして本番前にもう一度組み直すので、セッティングの再現性が命。セット図を手元に持っておくと、迷わず同じ配置に戻せます。
当日の動き方——逆リハ・順リハ共通のチェックリスト
| タイミング | やること |
|---|---|
| 前日まで | セット図・回線表を提出。セットリストも作っておく(リハで演奏する曲を決めておくため) |
| 入り直後 | 香盤表で自分のリハ時刻と本番時刻を確認。逆リハか順リハかもここで分かる |
| リハ待ちの間 | チューニング・弦交換・電池交換・ワイヤレスの確認を済ませる。楽屋の外で音を出さない |
| 自分の番の直前 | ステージ袖に機材を集めておく。前の組が終わった瞬間に入れる状態にしておくと、実質のリハ時間が伸びる |
| リハ中 | 要望は演奏しながら身振りで。止めて話すと時間が消える。曲は「サビだけ」「頭とラスト」で十分 |
| リハ後(逆リハ・一番手) | 機材を動かさない。マイクスタンドの高さ、アンプのつまみ、ペダルの位置は触らずそのまま |
| リハ後(それ以外) | 速やかに撤収して袖・楽屋へ。次の組のセッティングを妨げない |
よくある失敗と対策
| 失敗 | 対策 |
|---|---|
| 逆リハ後にアンプのつまみを触ってしまった | リハ終了時点の状態が本番の状態。写真を撮っておくと、万一動いても戻せる |
| リハで丸ごと1曲やって時間切れ | 確認したいのは音量バランスと返し。サビ・イントロ・転調部分だけで足りる |
| 返しの要望を後から思い出す | リハ前にメンバー全員で「誰が何を返してほしいか」を決めておく。セット図の余白に書いておくのがおすすめ |
| トリだからと遅く会場入り | 逆リハではトリのリハが最初。入り時間は全組共通が基本なので、指定時刻を必ず確認する |
| 一番手なのにリハ待ちで集中を切らす | 逆リハの一番手は待ち時間が最長。リハ30分前から準備モードに切り替える |
| 持ち込み機材を伝えていなかった | アンプ持込・DI持込・同期の有無はセット図と回線表に明記。当日の発覚はリハ時間を確実に削る |
まとめ:逆リハは「一番手のセットを残す」ための合理的な段取り
- 逆リハ=出演順の逆にリハを回す方式。トリが最初、一番手(トッパー)が最後
- 理由は開場〜開演の間に転換を挟まないため。一番手はリハのセッティングのまま本番へ入れる
- 順リハは拘束時間が分散するのが利点。フェス・サーキット・学園祭・多組数イベントで採用されやすい
- 1組のリハは20〜30分(セッティング込み)。押すと後ろのリハが削られる
- 逆リハのトリはリハから本番まで4〜5時間空く前提で、直前のウォームアップを計画に入れる
- 逆リハで一番手になったら、リハ後は機材を動かさないのが鉄則
リハの中身はサウンドチェック・リハの流れ、当日の全体像はライブハウス初出演の完全ガイドもあわせてどうぞ。