ライブのタイムテーブルの作り方【対バン4組の記入実例】転換時間の計算式と無料テンプレート
「対バンイベントの主催を初めてやる」「タイムテーブルを作ってと言われたけれど、何時に何を入れればいいのか分からない」——この記事は、そんな人のための実践ガイドです。結論から言うと、タイムテーブルは終演(完全撤収)から逆算して作ります。対バン4組の記入実例とそのまま使えるテンプレートつきで、開場・開演・転換・リハーサルの決め方を順番に解説します。
結論:タイムテーブルは「終演から逆算」して作る
初めて作る人はつい「開演19時、1組目は19時から…」と前から順に足していきがちですが、これはほぼ失敗します。持ち時間と転換を積んでいくうちに終演がどんどん後ろへずれ、終電や会場の利用時間に収まらない表ができあがるからです。
動かせないのは会場の完全撤収時刻とお客さんの終電。だからタイムテーブルは、そこから逆算して組みます。やることは3つだけです。
- 動かせない時刻を固定する——完全撤収と終演の上限を先に決める
- 出演枠を計算する——持ち時間×組数+転換×(組数−1)
- 後ろから埋める——終演→開演→開場→リハ→入り、の順に時刻を置く
タイムテーブルに入れる項目(基本フォーマット)
ライブハウスの対バンイベントなら、次の8項目が入っていれば運営が回ります。
| 項目 | 内容 | 時間の目安 |
|---|---|---|
| 入り(集合・搬入) | 出演者とスタッフの会場入り。楽屋割り・機材搬入 | 開場の3時間前 |
| リハーサル | 逆リハ(出演順と逆)で回す | 1組20〜30分 |
| 開場 | 客入れ開始。BGM・ドリンク・物販 | 開演の30分前 |
| 開演 | 影アナ→1組目のSEでスタート | — |
| 出番 | 各組の持ち時間(実演奏か転換込みかを明示) | 1組25〜30分が標準 |
| 転換 | 機材の入れ替え(転換) | 10〜15分 |
| 終演・客出し | 物販・特典会・お見送り | 30分 |
| バラシ・精算 | 機材撤収・会場との精算→完全撤収 | 30分〜1時間 |
作り方5ステップ(終演からの逆算)
ステップ① 動かせない時刻を確認する
会場に完全撤収の時刻(バラシと精算まで終えて全員が退館する時刻)と利用開始時刻を確認します。あわせて、平日開催なら終演は21時〜21時半を上限に見ておくと、お客さんの終電に優しい表になります。ここを確認しないまま組むと、最後に延長料金という形で跳ね返ってきます。
ステップ② 出演枠を計算する
開演から終演までの長さは、この式で一発で出ます。
例:持ち時間30分・4組・転換10分 → 30×4 + 10×3 = 150分(2時間30分)
トリのアンコールを見込むなら+10分をここで足します。また、出演者に伝える持ち時間が「実演奏30分」なのか「転換込み30分」なのかは、この段階で決めて募集文・案内に明記してください。ここが曖昧だと、各バンドが組めるセットリストの長さが変わってしまいます(詳しくは転換とは)。
ステップ③ 終演から逆算して開演・開場を置く
①と②を組み合わせます。終演21時半・出演枠150分なら開演は19時。開場は開演の30分前(この例では18時半)が標準で、キャパの大きい会場や整理番号で順に呼び込む場合は45〜60分前に広げます。
ステップ④ リハーサルを「逆リハ」で組む
リハは出演順と逆(トリが最初・1組目が最後)に組むのがライブハウスの基本です。最後にリハをした1組目のセッティングをステージに残したまま開場すれば、開演時の転換がゼロになるからです。1組20〜30分で組みます(詳しくは逆リハ・順リハとは)。
ステップ⑤ バッファ(押し対策の余白)を置いて完成
リハ終わりから開場までに30〜45分の「何も入っていない時間」を1か所つくります。リハが押した分をここで吸収し、開演以降に持ち込まないためです。逆に、転換を「10分と書いて12分で回す」ような隠れバッファは作らないこと。数字が信用されなくなり、全員の動きが緩みます(押し・巻きの考え方は「押す」「巻き」とは)。
記入実例:対バン4組・転換10分・19時開演の一日
ここまでの手順をそのまま適用した記入例です。前提は土曜開催・4組・持ち時間30分(実演奏)・リハ30分・22時半完全撤収。
| 時刻 | 内容 | メモ |
|---|---|---|
| 15:00 | 会場入り・搬入・楽屋割り | 出演者全員集合。搬入口と楽屋の案内は主催 |
| 15:15 | 進行確認(主催・PA・照明) | タイムテーブルと各バンドのセット図を最終確認 |
| 15:30〜16:00 | リハ① Dバンド(トリ) | 逆リハ。持込機材の多い組は長めに取る |
| 16:00〜16:30 | リハ② Cバンド | |
| 16:30〜17:00 | リハ③ Bバンド | |
| 17:00〜17:30 | リハ④ Aバンド(1組目) | セッティングをそのまま残す |
| 17:30〜18:15 | 休憩・着替え・フロア準備 | バッファ45分。リハの押しをここで吸収 |
| 18:15 | 影アナ・SE音源の最終確認 | 受け渡し漏れをチェック |
| 18:30 | 開場(客入れ) | BGM・ドリンク・物販。演者は楽屋待機 |
| 18:55 | 影アナ(開演5分前) | |
| 19:00〜19:30 | ① Aバンド | セッティング済みなので定刻で出られる |
| 19:30〜19:40 | 転換① | |
| 19:40〜20:10 | ② Bバンド | |
| 20:10〜20:20 | 転換② | |
| 20:20〜20:50 | ③ Cバンド | |
| 20:50〜21:00 | 転換③ | |
| 21:00〜21:30 | ④ Dバンド(トリ) | アンコールを見込むなら最初から40分枠にする |
| 21:30〜22:00 | 終演・客出し・物販 | お見送りをするならここ |
| 22:00〜22:30 | バラシ・精算・完全撤収 | 会場との精算を済ませて解散 |
転換時間は何分で組む?(10分・15分の使い分け)
タイムテーブルの精度は、ほぼ転換時間の見積もりで決まります。標準は10分。ただし全組一律にはせず、「基本10分+機材の多い組は5分加算」と積み上げるのが実務です。
| ケース | 目安 | 理由 |
|---|---|---|
| 弾き語り・アコースティック | 5〜10分 | 機材が少なく設営が速い |
| バンド(会場機材中心) | 10分 | いちばん標準的なケース |
| キーボード・同期(オケ)あり | 15分 | DI・PC・電源の接続が増える |
| ドラム持込・大編成 | 15〜20分 | 設営そのものに時間がかかる |
問題は、各バンドの機材は聞かないと分からないということ。だから主催は、出演確定のタイミングでセット図と回線表を回収します。編成と持込機材が図で見えれば、どの転換を15分にすべきか迷いません。集めた図はまとめてPAに渡すと、リハも転換も速くなります。
そのまま使えるテンプレート(組数別早見表つき)
組数×持ち時間の所要時間早見表(転換10分で計算)
| 組数 | 持ち時間25分 | 持ち時間30分 |
|---|---|---|
| 3組 | 1時間35分(19時開演→20:35終演) | 1時間50分(→20:50終演) |
| 4組 | 2時間10分(→21:10終演) | 2時間30分(→21:30終演) |
| 5組 | 2時間45分(→21:45終演) | 3時間10分(→22:10終演)⚠️ |
5組×30分は土曜でもかなり遅くなります。組数を増やすなら持ち時間を25分にするのが定石です。
空欄テンプレート(コピーしてスプレッドシートへ)
| 時刻 | 内容 | メモ |
|---|---|---|
| __:__ | 会場入り・搬入・楽屋割り | 開場の3時間前が目安 |
| __:__ | 進行確認(主催・PA・照明) | セット図・回線表をここで共有 |
| __:__〜 | リハーサル(逆リハ・1組30分×組数) | トリから始めて1組目が最後 |
| __:__〜 | バッファ(30〜45分) | リハの押しをここで吸収 |
| __:__ | 開場 | 開演の30分前 |
| __:__ | 影アナ(開演5分前) | |
| __:__〜 | 出番+転換(組数分くり返し) | 持ち時間×組数+転換×(組数−1) |
| __:__ | 終演・客出し・物販 | 30分が目安 |
| __:__ | バラシ・精算・完全撤収 | 会場の撤収時刻厳守 |
配ったあとの運用(共有・変更・当日の押し)
- 遅くとも前日までに全員へ共有——出演者・PA・照明・手伝いスタッフまで。当日の朝に初見、は事故のもとです
- 変更したら必ず「再送」する——ファイルを直しただけでは誰も気づきません。変更点を一言添えて送り直します
- 告知用は「出演順+開場・開演」だけ——各組の出番時刻まで公開するなら「時間は前後する場合があります」と必ず添えます
- 当日の時計係は主催——押しているかの判断と巻きの指示は、主催(または店長)がひとりで出すと現場が混乱しません。影アナとSE音源の担当・受け渡しも前日までに確定を
- 押したときの調整順——①転換で巻く ②MCの短縮を頼む ③持ち時間カットは最終手段(必ず本人に直接伝える)。詳しくは「押す」「巻き」とは
なお、タイムテーブルはイベント運営の一部にすぎません。オファー・収支・書類まわりを含めた主催の段取り全体は自主企画ライブのやり方にまとめています。
よくある失敗チェックリスト
- 開演から前向きに積んでしまった——完成したら、終演が終電と撤収時刻に収まっているか必ず逆算で検算する
- 転換を計算に入れ忘れた——4組なら転換だけで30分。まるごと抜けると終演が30分ずれる
- 「転換込み」か「実演奏」かを明示していない——出演者がセットリストの長さを組めず、当日の持ち時間トラブルになる
- リハを出演順に組んでしまった——1組目のセッティングが残らず、開演前にもう1回転換が発生する
- アンコール枠ゼロ——トリのアンコールで即押し。見込むなら最初から10分入れておく
- 完全撤収の時刻を確認していない——バラシと精算の時間が取れず、延長料金になる
- 運営用のタイムテーブルをそのまま告知に使った——リハの時間にお客さんが来てしまう
まとめ
- タイムテーブルは終演(完全撤収)からの逆算で作る
- 出演枠は持ち時間×組数+転換×(組数−1)。アンコールは+10分
- リハは逆リハで組み、1組目のセッティングを残したまま開場する
- バッファは開場前に1か所・30〜45分。隠れバッファは作らない
- 転換は基本10分+機材の多い組は5分加算。見積もりの材料はセット図の事前回収
- タイムテーブルは運営用と告知用の2種類。変更したら必ず再送