客入れ・客出しとは?意味と開場から開演までの流れ・客入れBGMの選び方・演者は何をする時間かまで解説
「そろそろ客入れ始めまーす」「客出しのBGMお願いします」——ライブハウスでも劇場でも毎日使われているこの2語。結論から言うと、客入れ=開場から開演までの間に観客を場内へ入れて案内すること、客出し=終演後に観客に退場してもらうことです。この記事では、意味と読み方から、開場〜開演のタイムライン・客入れBGMの実務・演者はその間何をするのか・客出しとバラシの段取りまで、演者目線で解説します。
結論:客入れ=観客を入れること、客出し=退場してもらうこと。関連語の早見表
客入れとは、開場から開演までの間に、観客を会場内へ入れて席・フロアへ案内すること。読み方は「きゃくいれ」です。反対に、終演後に観客に退場してもらうことが客出し(きゃくだし)。どちらも「作業」と「その時間帯」の両方を指して使われます。まずは前後の言葉とセットで整理しましょう。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 開場(OPEN) | 観客を入れ始める時刻。客入れの開始 |
| 客入れ | 本記事のテーマ。開場〜開演の間に観客を入れて案内すること・その時間帯 |
| 開演(START) | 本編が始まる時刻。客入れの終わり |
| 終演 | 本編(+アンコール)が終わること |
| 客出し | 終演後、観客に退場してもらうこと・その時間帯 |
| いれこみ | イベント業界で使われる客入れとほぼ同義の業界語。「入れ込み開始」のように使う |
チケットやフライヤーの「OPEN 17:30 / START 18:00」という表記は、「17:30から客入れを始めて、18:00に開演する」という意味。この間の30分が、この記事の主役です。
使い方・例文——現場でこう飛んでくる
| 例文 | 意味 |
|---|---|
| 「客入れ始めます」 | 開場します。ここからステージ・場内は観客に見られる状態になる |
| 「客入れ中はステージ上がらないで」 | 観客が入っている間はステージでの作業・横切りをしないで |
| 「客入れBGM、そちらで流せますか?」 | 開場中のBGMを演者側の音源で流せるかの確認 |
| 「押してるので客入れ10分短縮します」 | 進行が遅れているので開場時間を短くして調整します(押す・巻き) |
| 「客出し始めまーす」 | 終演後、観客の退場案内を始めます |
| 「客出しまで楽屋で待機で」 | 観客が退場し終わるまで演者は楽屋にいてください |
開場〜開演の30分に起きていること——客入れのタイムライン
観客として並んでいるだけでは見えませんが、客入れの30分は場内でこれだけのことが同時進行しています。
| 時間 | 場内で起きていること |
|---|---|
| 開場前 | リハ終了→ステージを一番手仕様に整える→客電ON・客入れBGM再生開始→スタッフが受付・ドリンクカウンターに配置 |
| 開場(OPEN) | 整理番号順に入場開始。受付でチケット確認(もぎり)→ドリンク代を払ってドリンクチケットを受け取る→フロア・席へ |
| 開場中 | 物販が動き始める。PAは卓の最終確認、照明は明かりのチェック。演者は楽屋で準備 |
| 開演5分前 | 影アナ(諸注意のアナウンス)。トイレ・ドリンクの駆け込みが増える |
| 開演(START) | 客入れBGMが止まり、客電が落ちて暗転→SE(出囃子)で登場、または板付きでスタート |
上のようなセット図を事前に提出しておくと、リハがスムーズに終わり、客入れ開始までにステージが仕上がります。客入れが始まってからのステージ作業は基本NGなので、「開場までに終わらせる」が全ての段取りの基準になります。
客入れBGMは誰が選ぶ?——選び方4原則と著作権
客入れ中に流れているBGM(客入れBGM・開場SE)は、会場側のプレイリストで流すのが基本形ですが、ワンマンや企画ライブでは演者・主催者が持ち込むことも多く、ライブの世界観づくりの一部になっています。選び方の定番はこの4つ。
- ① 本編の世界観につなげる——影響を受けたアーティスト・同ジャンルの曲で「今日のライブの空気」を先に作る
- ② 会話できる音量・質感にする——客入れは友人との合流や物販の時間でもある。歌モノの爆音より、少し引いた選曲・音量が定番
- ③ 本編でやる曲は流さない——1曲目の新鮮さを守るため、セットリストと被る曲は避けるのがセオリー
- ④ 開演に向けてテンションを設計する——開演が近づくにつれて高揚感のある曲へ。最後の1曲で暗転につなぐ構成は鉄板
客入れ中、演者は何をしている?
客入れの30分は、演者にとって本番前最後の準備時間です。定番の過ごし方はこうです。
- 楽屋でウォームアップ——発声・ストレッチ・指慣らし。セトリと段取りの最終確認
- 物販の設営・立ち番——対バンでは客入れ中から物販に立って交流するバンドも多い(ライブ物販の作り方)
- チューニング・持ち替え楽器の準備——袖に置く楽器・セトリ表・飲み物の配置まで済ませる
- SNSで直前告知——「まもなく開演」の一言が当日券・配信の後押しになる
客出しの実務——終演からバラシまでの流れ
終演後の客出しは、次のように進みます。
- ① 終演・客電ON——アンコールが終わると客出しBGMが流れ、客電がついて「終わり」の合図になる
- ② 退場案内——スタッフが出口へ誘導。ホールでは規制退場(ブロックごとの案内)になることも
- ③ 物販・お見送り——ライブハウスでは演者が物販や出口でお見送りをするのが定番。ファンとの距離が一番近い時間
- ④ バラシと同時進行——ステージ上では機材の撤収が始まる。客出しが終わると場内のバラシが本格化
- ⑤ 退館時刻から逆算——会場には退館(完全撤収)時刻がある。押している日は客出し・バラシのスピードが勝負になる
劇場・ホールの客入れ・客出し——案内係・定員・補助席
演劇・ホール公演では、客入れ・客出しは表方(おもてがた)=客対応スタッフの中心業務です。
- 案内係・客席係——指定席では席への案内、自由席では詰めの誘導や補助席の運用を行う
- もぎり——チケットの半券を切る受付のこと。今は電子チケットのQR認証が主流
- 定員と消防法——会場には定員が定められており、超えて入れることは消防法・条例に抵触する。補助席の運用にもルールがある
- 開演後の客入れ——遅れて来た観客は、曲間・場面転換までロビーで待ってもらってから案内するのが劇場の慣例(遅れ客対応)
会場・形態別の客入れ・客出しの違い
| 会場・形態 | 特徴 |
|---|---|
| ライブハウス | 開場は開演の30分前が定番。整理番号順入場+ドリンク代徴収。客出しは物販・お見送りと一体 |
| ホール・劇場 | 開場は45〜60分前が多い。座席案内・遅れ客対応・規制退場など表方の運用が最も手厚い |
| 野外フェス | 「ゲートオープン」と呼ばれ、開演の数時間前から。手荷物検査・リストバンド交換を伴う |
| サーキットフェス | 会場ごとに入場規制がかかるため、客入れ=入場規制の管理が仕事になる(サーキットフェスとは) |
| 配信ライブ | 「客入れライブ」=観客を入れて行う有観客ライブの意味で使われる。無観客配信と区別する言い方として定着 |
あわせて覚えたい関連用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| いれこみ | 客入れとほぼ同義のイベント業界語。「入れ込み」と書く |
| 表方(おもてがた) | 受付・案内・物販など観客に接するスタッフの総称。対義語は舞台側の「裏方」 |
| もぎり | チケット半券を切る受付業務・担当者 |
| 整理番号 | 自由席・スタンディングの入場順。チケットに印字され、番号順に呼び出して客入れする |
| 規制退場 | 混雑防止のためブロックごとに順番に退場してもらう客出しの方式 |
| 影アナ | 開演前の諸注意アナウンス。客入れの締めくくりの合図 |
| 客電 | 客席の照明。客入れ中はON、開演で落ち、客出しで再びONになる |
まとめ:客入れ・客出しは「ライブの入口と出口」
- 客入れ=開場から開演までに観客を入れて案内すること、客出し=終演後に退場してもらうこと。作業と時間帯の両方を指す
- 「OPEN 17:30 / START 18:00」の30分間が客入れ。客電ON・客入れBGM・ドリンク代・影アナ→暗転→SEという流れで本番につながる
- 客入れ中のステージには逆リハで作った一番手のセッティングが残っている。開場までに準備を終わらせるのが段取りの基準
- 客入れBGMは世界観・音量・被り回避・テンション設計の4原則。持ち込むときは権利処理を会場に確認
- 客出しは物販・お見送り・バラシと同時進行。退館時刻から逆算してスピーディーに