ライブのSE(出囃子)とは?尺は何秒・作り方・渡し方|SE指示書テンプレ無料DL
ライブハウスで「SEどうしますか?」と聞かれて戸惑ったことはありませんか。結論から言うと、SEとはバンドがステージに登場するときに流れる音楽・効果音のことで、入場SE・登場SE・出囃子(でばやし)とも呼ばれます。この記事では、SEの意味と種類、尺は何秒か(登場人数からの逆算早見表)、既成曲・自作・フリー音源の作り方、CD-R/USB/スマホでの音源の渡し方、板付きとの違い、著作権の注意点まで出演者目線で解説し、PAに渡す「SE指示書」のA4テンプレート(記入例つき)を無料配布します。
結論:SEとは「登場時に流れる音楽・効果音」のこと
SE(エスイー)とは Sound Effect(サウンドエフェクト)の略で、本来は「効果音」全般を指す言葉です。ただしライブハウスの現場で「SE」と言えば、ほとんどの場合バンドがステージに登場するときに流す音楽=入場SE(登場SE)を指します。落語や格闘技で使われる「出囃子(でばやし)」と同じ役割で、実際にバンド界隈でも出囃子と呼ぶ人がいます。
客電が落ちて暗転し、SEが鳴り始めた瞬間にフロアの空気が変わる——あの「始まった感」を作るのがSEの仕事です。
ライブで使われるSEの種類
| 種類 | 流れるタイミング | 内容 |
|---|---|---|
| 入場SE(出囃子) | 暗転〜メンバー登場 | バンドの世界観を伝える登場曲。この記事の主役 |
| 転換BGM | 転換中 | 会場が流す場つなぎの音楽。通常は会場任せでOK |
| 退場SE | 演奏終了〜撤収 | ライブの余韻を作る曲。指定したい場合は事前に伝える |
| 演出SE・効果音 | 曲間・曲中 | 雨音・鐘・ノイズなどの演出音。同期(オケ)で自分たちで出すことが多い |
SEの役割は3つ
- ① 開演の合図:SEが鳴る=ライブが始まる合図。観客がステージに集まり、PA・照明も「きっかけ」として動き出します
- ② 世界観の提示:1音目が鳴った瞬間からライブは始まっています。激しいバンドが荘厳なクラシックで登場する「ギャップ演出」も定番
- ③ セッティングの時間かせぎ:SEを流している間にメンバーが登場して楽器を構え、チューニングの最終確認をする。無音でゴソゴソやるより圧倒的にスマートです
有名バンドではBRAHMANのブルガリア民謡、LUNA SEAのベートーベン「月光」など、SE=バンドの代名詞になっている例も多くあります。SEが鳴っただけで歓声が上がる状態が理想形です。
尺の目安:30秒〜1分半が基本
対バンライブの入場SEは30秒〜1分半が目安。ひとつの基準として「持ち時間の1/25程度」と言われることもあります(持ち時間25分なら約1分)。長すぎるSEは持ち時間を削るだけでなく、フロアの温度も下がります。
- 持ち時間にSEも含まれるのが普通。SEが2分なら演奏できる時間は2分減ります
- メンバーが構え終わるタイミングと曲の盛り上がりが重なるように、フェードや編集で調整すると美しい
- SEの終わり方は「フェードアウトして1曲目」か「SEのピークにかぶせて1曲目に突入」の2択。後者はリハでPAとの合わせが必須です
ただ「30秒〜1分半」は幅が広すぎて、実際に何秒の音源を用意すればいいかは決まりません。自分のバンドの秒数は、次の早見表で「登場に何秒かかるか」から逆算してください。
尺は何秒?登場〜1曲目までの逆算早見表(人数・会場規模別)
SEの尺を決める式はひとつです。SEの尺 = 登場(袖から定位置まで)+ 構え(いちばん時間のかかるパートの準備)+ 溜め(1曲目に入る前の間)。それぞれの動作にかかる秒数の目安が下の表です。
| 動作 | 目安の秒数 | 短くするコツ |
|---|---|---|
| 袖→定位置(1人) | 小箱 3〜6秒/ホール 8〜12秒 | 出る順番と、上手・下手どちらの袖から出るかを先に決めておく |
| ストラップ・シールド | 8〜12秒 | 袖でストラップをかけてから出る。ワイヤレスなら袖で電源ON |
| ドラム着席〜構え | 10〜15秒 | ドラムだけ板付き(先に座っておく)にすると0秒 |
| チューニング確認 | 10〜20秒 | リハ後に合わせておき、本番は確認だけにする(5秒) |
| 同期・クリック起動 | 5〜10秒 | 袖で再生待機にしておき、出たら1タップ |
| 溜め(見得・煽り) | 5〜15秒 | 1曲目の頭(カウント・イントロ)に合わせて長さを決める |
足し算した結果を編成別・会場規模別にまとめると、「登場にかかる秒数」はおおむね次の範囲に収まります。
| 編成 | 小箱(〜200人) | ホール(500人〜) |
|---|---|---|
| 弾き語り・ソロ | 20〜30秒 | 30〜45秒 |
| 3ピース | 40〜50秒 | 60〜75秒 |
| 4人編成(Vo別) | 45〜60秒 | 70〜90秒 |
| 5人+同期あり | 55〜75秒 | 80〜100秒 |
逆算の例:4人編成・小箱・ドラム板付き
ドラムは板付きで0秒 → Ba・Gtが一斉に登場 6秒 → ストラップとシールド確認 10秒 → Voが登場してセンターへ 6秒 → チューニング確認 5秒 → Voが客席に手を挙げる溜め 10秒 → Drのカウントで1曲目。合計約37〜50秒なので、音源は1分05秒で用意し、Voが手を挙げたら5秒でフェードアウト。これが下で配布するSE指示書の記入例そのものです。
音源の渡し方:会場ごとのルールに合わせる
SEの音源をどう渡すかは会場によってルールが違います。ブッキング担当からの事前案内かアンサーシートに指定があるはずなので、必ず確認しましょう。主な方式は3つです。
| 方式 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| CD-R | 昔ながらの定番。当日PAに手渡し | SEのみ1トラックで焼くのが鉄則。別トラック誤再生の事故を防げる |
| データ事前送付 | WAV/MP3をメールやフォームで提出 | ファイル名に「バンド名_SE」。指定形式・ビットレートに従う |
| スマホ・プレイヤー | 当日ミニプラグ等でPAに接続 | 機内モード必須(通知音が場内に流れる事故防止)。画面ロックの自動再生停止にも注意 |
CD-Rで渡す場合は、盤面とケースに「バンド名・出演順・トラック番号・尺・終わり方(フェード/カットイン)」を油性ペンで明記。PAスタッフは当日何枚ものCDを預かるので、書いてあるだけで事故率が大きく下がります。方式ごとの「事前にやること・当日やること」は次のチェックリストにまとめました。
音源の渡し方チェックリスト(CD-R/USB/スマホ/データ)
事故の原因は「音源そのもの」より、形式が違う・再生機が無い・どれがSEか分からないの3つに集中します。方式ごとに、家でやっておくことと当日やることを分けて確認してください。
| 方式 | 事前にやること | 当日やること |
|---|---|---|
| CD-R | CD-DA(音楽CD)形式で焼く(データCDはCDプレイヤーで鳴らない)/SEのみ1トラック/低速で書き込む/別のプレイヤーでも再生確認/予備を1枚 | 盤面に下の7項目を書く/リハ前にPAへ手渡し/終演後に回収 |
| USBメモリ | WAV 44.1kHz/16bit(会場指定があればそれに従う)/ファイル名を「01_バンド名_SE_1m05s.wav」/中身はそのファイルだけ/FAT32かexFAT | USB再生できない会場は多いので事前に確認/予備にCD-Rかスマホを持参 |
| スマホ直結 | 機内モード+通知オフ/画面ロック中も再生が止まらない設定/音量最大/3.5mmミニプラグのケーブルを自前で用意(ステレオミニ、またはフォン×2) | 充電100%/誰が再生ボタンを押すか(PAか、袖にいる自分か)を決める |
| データ事前送付 | 期日・形式・容量を確認(メール添付は10MB前後が上限、超えるならファイル転送サービス)/ファイル名の先頭にバンド名 | 「届きました」の返信を確認/当日も予備をスマホに入れて持参 |
盤面・ファイル名に書く7項目
- バンド名(出演名義。略称ではなく出演者リストと同じ表記で)
- 出演順(3番手など。PAは出演順でCDを並べる)
- 「登場SE」の文字(転換BGMや同期音源と区別するため)
- 尺(1:05 のように分:秒で。音源の実際の長さ)
- 終わり方(フェードアウト◯秒/カットアウト/1曲目にかぶせる)
- きっかけ(Voが手を挙げたら、など。終わりの合図を誰が出すか)
- 連絡先(当日つながる番号。CDの置き忘れ・返却で必要)
この7項目は、下で配布するSE指示書テンプレートの記入欄と同じ並びです。指示書を1枚渡しておけば、盤面には「バンド名/出演順/登場SE/尺」だけで足ります。
SEの作り方:既成曲の切り出し・自作・フリー音源の3ルート
SEの作り方は3ルートあり、どれを選ぶかで著作権の扱いと手間が変わります。まず自分たちに合うルートを選んでください。
| ルート | 向いている場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| 既成曲を切り出す | 初ライブ/好きな曲の世界観を借りたい/すぐ用意したい | 会場での再生は多くの場合OKだが、配信・映像化ではほぼ使えない |
| 自作(DTM) | 同期(オケ)を使う/1曲目とつなげたい/配信も見据える | 大音量で歪まないよう音圧を確認。作り込みすぎて長くなりがち |
| フリー音源 | 権利を気にせず配信・映像化したい/DTMはできない | 利用規約で「公演での再生」「配信」の可否とクレジット表記の要否を確認 |
① 既成曲を切り出す(無料ソフトで5ステップ)
AudacityやGarageBandなど無料の編集ソフトで十分です。ポイントは「どこを切るか」より「盛り上がりをどこに置くか」。
- 盛り上がりの位置を決める:早見表で出した「登場の秒数」のあたりにサビや転調が来るよう、曲の頭出し位置をずらす
- 頭に1〜2秒の無音+2〜3秒のフェードイン:頭からのカットインは、客が驚くうえに音量事故の原因。無音を入れておくと再生ボタンを押してから暗転までの余裕にもなる
- 終わりは切らずに長めに残す:「登場の秒数+15秒」まで残し、終わりはPAにフェードしてもらう。自分で短く切ると、構え終わる前に無音になる
- ノーマライズ(−1dB程度):転換BGMより小さいSEは締まらない。音量を上げてから、家のスピーカーで大きめに鳴らして歪みを確認
- WAV 44.1kHz/16bitで書き出す:MP3は最終手段。CD-Rにするなら書き出したWAVをCD-DA形式で焼く
② 自作する(DTM・同期バンド向け)
- 1曲目のキーとBPMに合わせる:SEの最後の8小節を1曲目のテンポで作っておくと、カウント無しでそのままイントロに入れる
- 音圧はRMS −13dB前後を目安に:ライブハウスの音量で鳴らすと、家では気づかない歪みが出る。マスタリング後に大音量で確認する
- 同期を使うバンドは同期の頭にSEを入れる:自分たちの再生機からSEを出せば、PAの再生タイミングに依存しなくなる。その場合は回線表にSE用のDIチャンネルを明記
- 作り込むほど長くなるので、完成してから早見表の秒数まで削る前提で作る
③ フリー音源を使う
DOVA-SYNDROME・魔王魂・甘茶の音楽工房など、無料で使えるBGM素材サイトにはSE向きのインスト曲が多くあります。ダウンロード前に規約で「ライブ・公演での再生」「配信・動画への使用」「クレジット表記の要否」の3点を確認し、切り出し方は①と同じ手順で。配信も映像化も気にせず使えるのがこのルートの最大の強みです。
SE指示書テンプレート(PAに渡す1枚・A4)を無料ダウンロード
ここまでの「尺・頭と終わり・きっかけ・登場の段取り・音源の形式」を、PAさんにそのまま渡せる1枚にまとめました。1ページ目が記入用、2ページ目が4人編成・対バン25分の記入例です。登録不要・完全無料、印刷・配布・改変自由です。

使い方は3ステップです。① 早見表で登場の秒数を出し、音源をその+15秒で用意する → ② 指示書の①〜④を埋める(分からない欄は空欄のままでOK。リハで決めます)→ ③ 入り時にセット図・回線表と一緒にPAへ渡し、リハで実際に1回流す。紙が1枚あるだけで、当日「SEどうします?」と聞かれる回数がゼロになります。
「板付き」と「SE登場」——登場の2パターン
登場のしかたには2パターンあり、香盤表やリハで確認される定番項目です。
- 板付き(いたつき):幕が開く/客電が落ちた時点で、すでにメンバーがステージ上でスタンバイしている状態。SEなしですぐ1曲目に入れる
- SE登場:暗転→SEが鳴る→メンバーが順に登場して構える→1曲目へ。ドラマチックだが、その分時間を使う
対バンで持ち時間が短い日は板付き、ワンマンや大事な日はSE登場、と使い分けるバンドも多いです。どちらにするかはリハで「きっかけ」(暗転や客電のタイミング)とセットでPA・照明に伝えましょう。「ドラムだけ板付き、ほかはSE登場」のような組み合わせも、指示書の「登場の型」に✓を入れるだけで伝わります。
既成曲をSEにするときの著作権
好きなアーティストの曲をSEにしたい場合、気になるのが権利の問題。ポイントは2つです。
- 会場での再生:多くのライブハウスはJASRAC等と包括契約を結んでおり、管理楽曲を場内で流すこと自体は会場側の契約でカバーされるのが一般的です(会場に確認するのが確実)
- 配信・映像化は別問題:ライブを配信したり映像作品として販売する場合、既成曲のSEは原盤権の許諾が別途必要になり、実務上ほぼ使えません。配信ではSE部分だけカット・差し替えになるケースが多発します
将来の配信・映像化まで考えるなら、自作SE(メンバー制作・DTM)やフリー音源・音素材を使うのが安全で、バンドの独自性も出せて一石二鳥です。
SE選びの定番4パターン
- ① 自作インスト:同期(オケ)を使うバンドなら自作が王道。1曲目のキーやBPMと繋がる構成にできる
- ② 洋楽・インストの既成曲:歌モノより邪魔をしないインスト・映画音楽系が定番
- ③ クラシック・民謡:激しい音楽性とのギャップ演出。前述のBRAHMAN・LUNA SEAが好例
- ④ 環境音・ノイズ系:雨音・鼓動・ラジオノイズなど。ダークな世界観のバンドと相性◎
迷ったら「1曲目のイントロが最高に映えるか」で選ぶのがおすすめ。SEはあくまで前フリで、主役は1曲目です。
SEはセット図・提出書類にも書いておこう
SEに関する情報は、口頭だけでなく提出書類に残すと当日のやり取りが一気に減ります。
- セット図の備考欄に「SEあり(データ提出済み/CD当日渡し)」と一言書く
- SEを同期(オケ)から自分たちで出す場合は、インプットリスト(回線表)にDIのch数を明記
- アンサーシートにSE欄がある会場は、尺・終わり方・きっかけまで記入(SE指示書を添付すれば同じ内容を書き写すだけ)
提出の作法は対バンのセット図・提出マナーにまとめています。
