ライブフライヤーの作り方|載せる情報・デザイン・印刷・配り方まで完全ガイド
ライブが決まったら、次はお客さんを呼ぶ番。SNS告知が主流の今でも、紙のフライヤーはライブハウス文化の中で現役の集客ツールです。手渡しの一言と一緒に渡せて、家に持ち帰って残る——デジタルにはない強さがあります。この記事では、載せるべき情報・レイアウト・無料ツール・印刷・配り方まで、フライヤー作りの全工程を、ライブハウス独特の表記ルール(OPEN/START・前売/当日・+1drink)も含めて解説します。
結論:SNS時代でも紙のフライヤーが効く3つの理由
ライブフライヤーとは、ライブの日時・会場・出演者などをまとめた告知用のチラシのこと。サイズはA6〜A5が主流で、ライブハウスの入口や物販まわりに置かれたり、終演後に手渡しされたりします。SNSで告知できる今、わざわざ紙を刷る意味は3つあります。
| 理由 | 意味 |
|---|---|
| 「今日見たお客さん」に直接届く | 対バンのライブに来たお客さんは、すでにライブハウスに足を運ぶ習慣がある人。SNSの誰かより、目の前のその人が次の動員候補です |
| 手渡しの一言とセットになる | 「今日ありがとうございました、来月ここでやります」——会話のきっかけを作る名刺として機能する |
| 物として残る | SNS投稿は流れて消えますが、紙は財布や部屋に残り、思い出したタイミングで予約につながる |
載せるべき情報チェックリスト——ライブハウス独特の表記ルールも
フライヤーで一番多い失敗は、デザイン以前に情報の載せ忘れです。まず必須と推奨を分けて押さえましょう。
| 区分 | 項目 | 書き方のポイント |
|---|---|---|
| 必須 | イベント名/バンド名 | 一番大きく。企画名がある場合は「〇〇 presents」も |
| 日付・曜日 | 年まで入れる(年をまたぐ告知で事故防止)。曜日は必ず | |
| OPEN/START | ライブハウスは開場(OPEN)と開演(START)を分けて書くのがルール。例:OPEN 18:30 / START 19:00 | |
| 会場名 | 正式名称で。同名会場が複数ある都市は「下北沢〇〇」のように地名付きで | |
| チケット代 | 前売(ADV)と当日(DOOR)を分ける。ドリンク代が別なら「+1drink(別途600円)」と明記(ドリンク代とは) | |
| 予約方法 | 予約フォームのQRコード、またはDM・メールの宛先。「どうやったらチケットを買えるか」が無いフライヤーは集客につながりません | |
| 推奨 | 出演者(対バン) | 全出演者を載せると対バンのファンにも刺さる。並び順は主催者に確認(トリや主催を先頭にする慣行がある) |
| SNS・サイトのQR | 予約QRとは別に、プロフィールに飛ぶQRを1つ。QRは2cm角以上(小さいと読めない) | |
| アーティスト写真/ロゴ | 「誰のライブか」が0.5秒で伝わるメインビジュアル | |
| ひとこと紹介文 | 「轟音3ピース」「歌モノ弾き語り」など、初見の人向けの音楽性の説明 |
レイアウトの基本形——視線は「上→中→下」に流れる
チラシを受け取った人の視線は、おおむね上から下へ流れます。この流れに沿った配置が定番のレイアウトです。
- 上部=イベント名・バンド名:一番伝えたい情報を最も大きく。フライヤーの「顔」
- 中央=メインビジュアル:アーティスト写真・イラスト・ロゴを大きく。世界観はここで伝える
- 下部=詳細情報:日時・会場・料金・出演者を左側に、QRコード・SNSを右側に。この段は「読みやすさ最優先」の書体で
コツは情報に優先順位をつけて、大きさで差をつけること。全部を大きくすると、結局どれも目立ちません。「日付と会場名は遠目でも読める」「細かい注記は近づけば読める」の2段構えが目安です。
デザインのコツ——「音楽性と合っているか」がすべて
フライヤーは音を出せない広告です。だからこそ、デザインの雰囲気=音楽性の予告編になります。
- ジャンルの空気に合わせる:轟音・ラウド系なら太い書体と高コントラスト、アコースティックなら余白と柔らかい色、シティポップなら写真とタイポの洒落感——「音が想像できるか」で判断
- 色は3色まで:ベース+メイン+アクセント。色数を絞るだけで一気にプロっぽくなります
- 飾りフォントは1か所だけ:タイトルに使うのはOK。日時・会場・料金は必ず読みやすい書体(ゴシック系)に
- 余白を怖がらない:情報を詰めるほど読まれません。「入れたい」より「削れるか」
- 写真は高解像度の1枚に絞る:小さい写真を並べるより、良い1枚をドンと使う方が強い
無料で作れるツール比較——まずはCanvaが定番
| ツール | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| Canva | テンプレートが豊富でブラウザ・スマホアプリで完結。印刷用PDF(トンボ・塗り足し付き)も書き出せる | 迷ったらこれ。初めての1枚に最適 |
| Adobe Express | Adobe製の無料版。フォントの質が高い | タイポ重視のデザインにしたい人 |
| ibisPaint/Procreate | スマホ・タブレットで手描きイラストから作れる | イラストを自分で描くバンド |
| GIMP/Affinity | 本格的な画像編集。学習コストは高い | 写真の加工までこだわる人 |
印刷の実務:サイズ・紙・部数・入稿データ
データができたら印刷です。コンビニコピーでも作れますが、ネット印刷は100枚で数百円〜と激安なので、まとまった枚数なら入稿する方がきれいで安上がりです。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| サイズ | A6(ハガキ大)=手渡し用の定番。置きチラシや情報量が多いならA5。大きいほど目立つが持ち帰られにくい |
| 紙厚 | コート紙90〜110kgが標準。薄すぎる(73kg以下)とペラペラで安く見える |
| 部数 | 初回は100〜200枚で十分。動員30人のライブで手渡しできるのは対バン客含め50〜100枚程度。日付入りの告知物は余っても次に使えないので刷りすぎない |
| 価格相場 | ネット印刷(ラクスル・プリントパック・グラフィック等)でA6カラー100枚=数百円〜1,500円前後(納期が長いほど安い) |
| 納期 | 激安プランは5〜7営業日。ライブ1か月前告知から逆算して、遅くとも6週間前にはデータ完成を |
入稿データの基本ルールは物販グッズと同じです:解像度350dpi(原寸)・カラーモードはCMYK(RGBのままだと色が沈む)・フチまで色を敷くなら塗り足し3mm・文字は端から3mm以上内側に。Canvaなら「PDF(印刷)」で書き出せばトンボ・塗り足しが付きます。
配布方法——「刷って終わり」にしない5つのルート
フライヤーは配り方が9割。刷った枚数ではなく、届いた枚数が集客になります。
| ルート | やり方 |
|---|---|
| ① ライブハウスに設置 | 出演する(した)会場に「フライヤーを置かせてください」とお願いする。出演者の設置は歓迎されることがほとんど。他会場は事前に連絡してから |
| ② 終演後の手渡し | 最強のルート。物販ブース(ライブ物販の作り方)で「次はここでやります」と一言添えて渡す。転換中のフロアで対バンのお客さんにも |
| ③ 対バンとの相互配布 | 仲良くなったバンドと「お互いのフライヤーを物販に置く」。打ち上げはこの約束を取り付ける場でもあります |
| ④ スタジオ・楽器店 | リハで使うリハスタや楽器店には掲示板・チラシ棚があることが多い。受付に一声かけて |
| ⑤ デジタル併用 | 同じデザインを正方形(フィード用)と9:16(ストーリーズ用)に書き出してSNSへ。紙のQRからSNSに飛ばし、SNSの投稿で紙の情報を補完する二段構え |
よくある失敗チェックリスト
- 曜日・年の書き忘れ/間違い:印刷前に必ずカレンダーと突き合わせる。日付ミスは刷り直しです
- ドリンク代の書き忘れ:「チケット2,000円と思って来たら+600円だった」はお客さんの不信感に直結。「+1drink」を忘れずに
- 予約方法がない:かっこいいのに「どう予約するのか分からない」フライヤーは意外と多い。QRか連絡先を必ず
- QRコードが小さい・読めない:2cm角以上、印刷後に自分のスマホで読み取りテストを
- スクショ画質の画像を使う:SNSアイコンをそのまま拡大するとぼやけます。写真は元データから
- 権利の確認漏れ:他人の写真・イラスト・フォント・会場ロゴの無断使用はNG。会場の外観写真やロゴを使うときは会場に一言確認
フライヤーが配れたら、あとは当日を最高のライブにするだけ。初出演の全体の流れはライブハウス初出演の完全ガイド、出演オファーの取り方はデモ音源の送り方もどうぞ。