アンサンブルコンテストの配置図・並び方|金管・木管・打楽器の編成別の図と記入ルール【A4無料】
アンサンブルコンテスト(アンコン)の配置図で迷うのは、どう並ぶかと何をどう書くかの2つです。3〜8人で指揮者がいないアンコンでは、並びがそのまま「合わせやすさ」と「客席での聞こえ方」に響きます。結論から言うと、似たパートを隣に、合図を出す人から全員が見える半円に並べ、配置図には椅子(○)と譜面台(×)の数と位置、打楽器のおおよその位置を書く。この記事では、金管五重奏・金管八重奏・木管五重奏・サックス/クラリネット四重奏・打楽器アンサンブルのよく使われる並び方を図で比べ、公開されている県の様式に共通する記入ルール、本番の転換で係に渡す情報、練習会場と本番ホールの違いまでを、そのまま印刷して使えるA4シート(無料・PDF4ページ)つきで解説します。
結論:配置図に書くのは「並び・数・打楽器」。様式があれば様式が最優先
アンコンの配置図は、当日の舞台係がこの紙を見て椅子と譜面台を並べ、打楽器を置くための指示書です。団体ごとの入れ替えは短く、大阪府の要項はセッティングを1分以内と定めています。だから評価されるのは上手な絵ではなく、数と位置が合っている図です。書くことは3つに絞れます。
- 並び——下手から上手の順に、誰がどこに座るか(立つか)。楽器名は略記でよい
- 数——椅子(○)と譜面台(×)の合計、立奏か座奏か、持ち替え用・楽器置き用の椅子
- 打楽器——おおよその位置をイラストか楽器名で。借りる楽器と電源には○
この記事は3〜8人のアンサンブルに絞っています。50人規模のコンクールの配置図とひな壇は吹奏楽のステージ配置図の作り方、ジャズの17人編成はビッグバンドの配置図にまとめました。
アンコンの規定で、配置図に関わるのは6つ
並びを考える前に、規定で決まっていることを押さえます。全国大会につながる地区・県・支部の大会は、全日本アンサンブルコンテスト実施規定(令和6年4月施行)と各県の要項に沿って行われます。配置図に効くのは次の6つです。
| 規定 | 内容 | 配置図への影響 |
|---|---|---|
| 人数 | 3〜8人。同じパートを2人で演奏しない | 椅子と譜面台は人数ぶんが基本。持ち替え用・楽器置き用の椅子は別に数える |
| 指揮者 | 独立した指揮者は置けない | 指揮台はいらない。合図を出す奏者から全員が見える並びにする |
| 楽器 | 木管・金管・打楽器・コントラバス | コントラバスだけの編成とリコーダーは不可。打楽器は借用できる楽器が会場と部門で違う |
| 演奏時間 | 1曲・5分以内(超過は失格) | セッティングは別に短く求められる(大阪府は1分以内) |
| 持ち込み | 共鳴箱・反響板は不可 | 全日本吹奏楽連盟の規定(2011年度から)。ホールの反響板を前提に並びを決める |
| 譜面 | 電子楽譜は不可 | 紙の譜面と譜面台で組む。ステージ上のチューナー・タブレットも不可とする県がある(大阪府) |
編成別の標準配置【図つき】——金管・木管・サックス・打楽器
ここから編成ごとの並びです。並びは下手→上手(客席から見て左→右)で書いています。どの編成にも「これが正解」という決まりはなく、作曲家も「どの並びも絶対ではない」と書いています。よく使われる型を並べるので、メンバーで試して、決めたほうを配置図に書いてください。
| 編成 | 並び(下手→上手) | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 金管五重奏① | Tp1・Tp2・Hr・Tb・Tu の半円 | トランペットを下手、低音を上手にまとめる。ホルンを中央に置くと、後ろ向きのベルが舞台奥の反響板に当たって混ざる |
| 金管五重奏② | 向かい合い:Tp1・Tp2 と Hr・Tb が向き合い、Tu は中央奥 | お互いの顔とベルが見えて合わせやすい。ベルが客席を向かないぶん、ホールでバランスを確かめる |
| 金管八重奏 | Tp1・Tp2・Tp3・Hr・Tb1・Tb2・Euph・Tu | 似たパートを隣に。Tu を中央に入れる型もある(全体がまとまる代わりに、隣の Euph が聞こえにくくなる) |
| 木管五重奏 | Fl・Ob・Hr・Fg・Cl(Hr と Fg を入れ替える型も) | フルートは下手端、クラリネットは上手端。楽譜の段の順(Fl・Ob・Cl・Hr・Fg)とは違う |
| 同族の四重奏 | Sax:S・A・T・B/Cl:1st・2nd・3rd・B.Cl | 高い声部から下手に並べる型がいちばん多い。Sax には S・T・B・A(両端で旋律を受け渡す)、B・T・A・S もある |
| 打楽器 | 鍵盤を前、太鼓を後ろの前後2列(L字も) | 横に広げすぎない。楽器を中央に少し向け、お互いの手元が見えるようにする |
金管五重奏:トランペットは下手、低音は上手。ホルンの位置で響きが変わる
いちばん多いのは、Tp1・Tp2・Hr・Tb・Tu を半円に並べる形です。トランペット2本を下手、トロンボーンとチューバの低音を上手にまとめ、ホルンを真ん中に置きます。
ホルンを真ん中に置く理由はベルの向きです。ホルンのベルは奏者の右後ろを向くので、半円の中央に座るとベルが舞台奥を向き、ホールの反響板に当たって混ざった音で客席に届きます。金管五重奏を録る録音エンジニアも「後ろ向きのベルを反響板で支えるために、ホルンを中央に」と書いています。逆に上手端に座ると、ベルが上手の袖(幕)を向き、音が吸われて小さく聞こえます。
もう1つの型が向かい合い(家型)です。トランペット2人とホルン・トロンボーンが左右から向き合い、チューバが中央奥で正面を向きます。お互いの顔とベルが見えるので合わせやすい反面、ベルが客席を向かないため、ホールではバランスが判断しにくくなります。
金管八重奏:似たパートを隣に。チューバは端か中央か
金管八重奏の編成はTp3・Hr1・Tb3・Tu1か、トロンボーン1本をユーフォニアムにしたTp3・Hr1・Tb2・Euph1・Tu1がよく使われます。並びの基本は五重奏と同じで、下手からトランペット・ホルン・トロンボーン・ユーフォニアム・チューバ。8人を1列の半円に並べます。
迷いやすいのがチューバの位置です。上手端に置くと、音量の大きいチューバをベルの向きで調整しやすく、ユーフォニアムとも隣り合います。チューバを中央に入れる型は、低音が真ん中に来て全体がまとまりますが、ユーフォニアムが聞こえにくくなります。ホルンが2本の編成は、ホルンどうしを隣にして、1stと2ndのどちらを客席側にするかを先に決めておきます。
木管五重奏:フルートは下手端、クラリネットは上手端。楽譜の順とは違う
木管五重奏はFl・Ob・Hr・Fg・Clの順に半円に並べる形がよく使われます。木管五重奏の作曲について書いた作曲家のジーク・ヘッカーは、「客席から見て左からフルート・オーボエ・ホルン・ファゴット・クラリネット。ホルンとファゴットを入れ替えることもあり、どの並びも絶対ではない」としています。
注意したいのは、楽譜の段の順(上からFl・Ob・Cl・Hr・Fg)と舞台の並びが違うことです。スコアの順に座るとクラリネットが真ん中、ホルンが上手寄りになり、ホルンのベルが上手奥を向きます。配置図には、スコアの順ではなく実際に座る順で楽器名を書いてください。
サックス・クラリネット四重奏:高い順が基本。旋律の受け渡しで並べ替える
同じ楽器の仲間で組む四重奏は、高い声部から下手に並べるのが基本です。サックスならS・A・T・B、クラリネットなら1st・2nd・3rd・バスクラ。サクソフォンの解説書(The Cambridge Companion to the Saxophone)は、よく使われる並びとしてS・A・T・Bのほかに、ソプラノとアルトを両端に分けるS・T・B・A(旋律を交互に受け渡す曲向き)、低い順のB・T・A・Sを挙げています。
同じ本は、四重奏の形として2人ずつ向かい合う形と弦楽四重奏のような半円の2つを挙げ、向かい合う形は練習では合わせやすい一方、本番では客席から遠く感じられることがあるとしています。アンコンの配置図は、客席に向けて開いた半円で書くのが無難です。
打楽器アンサンブル:横に広げず、前後2列で中央へ向ける
打楽器アンサンブルは、管楽器のように「1人1か所」ではありません。1人が鍵盤と太鼓と小物を持ち替えるので、配置図は楽器の位置と、持ち替えの動きの図になります。基本は鍵盤を前、太鼓類を後ろの前後2列にして、楽器を少し中央へ向ける形です。
置き方の細かいコツは打楽器の置き場所の節にまとめました。なお北海道大会の要項は「出場順は打楽器アンサンブルを除き抽選」としていて、打楽器の団体は搬入と転換の都合で別に並べられることがあります。
指揮者なしで合わせる——合図を出す人の位置と、譜面台の高さ
アンコンでは独立した指揮者を置けないので、誰か1人が楽器と体の動きで合図を出します。出だし、テンポが変わるところ、最後の音を切るところ。この合図が全員に見えないと、どれだけ練習しても縦がずれます。配置図を書く前に、次の4つを決めてください。
- 合図を出す人を決める——曲の出だしを吹く人が出すと自然。場面ごとに替わるなら、誰がどこで出すかまで決め、メンバー表に「合図」と書いておく
- 半円の開き方——合図を出す人から全員の顔が見える角度にする。横一列にすると、端の2人は互いが見えない
- 譜面台の高さ——低めにして顔と手元を見せる。打楽器奏者の解説でも「仲間のテンポ出しが見えるように譜面台もセッティング」とされている
- 本番と同じ開き方で通す——練習で内向きの円に座ったまま慣れると、本番で客席に開いたときに見えない相手が出る。椅子の角度と譜面台の高さも練習のうちに決めておく
打楽器の置き場所——移動の多い楽器とマレット台
打楽器アンサンブルや管打の編成の打楽器は、配置図の中で情報量がいちばん多いところです。奏者にとっては、置き方が演奏のしやすさに直結します。打楽器奏者の解説記事をもとに、置き方のポイントを表にしました。
| ポイント | 置き方 | 理由 |
|---|---|---|
| 向き | 楽器を中央に少し向ける | お互いの手元と体の動きが視界に入る。鍵盤も太鼓もティンパニも同じ |
| 広がり | 横に広げすぎず、前後2列に | 離れた人とは音の時差が出る。前後にして中央へ向ければ、後ろの人の様子も見える |
| 大太鼓 | 奏者の右側に他のパート | 右側から叩くことが多く、左側の視界が狭い |
| 太鼓類 | 手前と奥にまとめる | トムは高さ順にこだわらず2個ずつ手前と奥へ。手順の自由度が上がる |
| 鍵盤 | L字や手前と奥に | 持ち替えの移動を短くする。サスペンドシンバルや吊りトライアングルにも使える |
| マレット台 | 楽器より高く、奥に | 持つ部分を台からはみ出させるとすぐ握れる。右手で持つ物は右、左手で持つ物は左 |
| 譜面台 | 仲間の合図が見える位置 | 指揮者がいないので、テンポを出す人の手元が見えることを優先する |
楽器名の略記(Timp.・Mar.・Vib.・S.D.・B.D. など)は吹奏楽の配置図の楽器略記号の早見表と同じです。大編成のコンクールで打楽器をどこに置くかは、吹奏楽の配置図の打楽器の節にまとめています。
配置図の記入ルール——○=椅子・◎=ピアノ椅子・×=譜面台
アンコンの配置図の様式は県や地区ごとに違いますが、公開されている山梨県と千葉県(印旛地区予選)の様式を読み比べると、問われていることはほぼ同じでした。記号と書き方をまとめます。
| 記号・欄 | 意味 | 様式の例・注意 |
|---|---|---|
| ○ | 椅子(座る奏者) | 山梨県・千葉県の様式。○の数を「椅子( )脚/個」に書く |
| ◎ | ピアノ椅子 | 高さを変えられる椅子。山梨県は「椅子の数はピアノ椅子を含んだ数」 |
| × | 譜面台 | 「譜面台( )本」。打楽器の譜面台も数える(山梨県の記入例=椅子8・譜面台9) |
| 立奏・座奏 | どちらかに○ | 書き忘れが多い項目(山梨県の注意書き) |
| 持ち替え用 | 椅子の横に注記 | 楽器置き用の椅子も同じ。奏者の椅子と区別する |
| 打楽器 | イラストか楽器名 | 「できるかぎりイラスト入りで」(山梨県)、「図入りでおおよその位置」(千葉県) |
| 借用品 | 借りる楽器・電源に○ | 千葉県の地区予選はティンパニ・チャイム・ドラ・バスドラム・マリンバ・シロフォン・ビブラフォン。木管部門は借用なし |
書く順番は5ステップです。
- その年度の様式を取る——要項のページから。提出の部数とサイズもいっしょに確かめる
- 下手から順に○と楽器名を書く——並びは客席から見た向き。考え方は上手・下手とはで確認できる
- 各○の前に×(譜面台)——打楽器の譜面台も忘れずに数える
- 打楽器はイラストか楽器名で——借りる楽器と電源に○
- 合計数・立奏/座奏・伝達事項を埋める——○と×を数え直して、欄の数と図を合わせる
本番の舞台転換で係に渡す情報
アンコンは1団体ずつ入れ替わるので、前の団体が退場してから自分たちの演奏が始まるまでが短いのが特徴です。大阪府の要項では、ステージ上では速やかに準備し、暗転から明るくなってアナウンスが終わったら演奏開始、終わったら立礼して下手から退場、という流れでした。係が椅子と譜面台を並べ、打楽器を運び込むために必要な情報は次の6つです。
| 項目 | 書くこと | 理由・例 |
|---|---|---|
| 椅子と譜面台 | 使う数の合計 | 持ち替え用・楽器置き用を含めて数える。係はこの数だけ袖から出す |
| 立奏・座奏 | どちらか | 立奏なら椅子を出さない。全員が同じとは限らないので図で示す |
| 打楽器の搬入順 | 袖から出す順と運ぶ人 | 大阪府は打楽器を下手袖から入れ、一度にすべて運べるよう補助員を用意させている |
| 借用楽器 | 借りる楽器名に○ | 借用の可否と台数は要項で確認する(木管部門は借用なしの例) |
| 電源 | 口数と位置 | ビブラフォンのモーターなど。山梨県の記入例はビブラフォンの横に電源 |
| 伝達事項 | 係に頼みたいこと | 譜面台の高さ・椅子の向きなど。提出後に配置を変えられない県がある |
定期演奏会の中でアンサンブルを披露するときの転換と時間の組み方は定期演奏会の進行表に、曲紹介の原稿は定期演奏会の司会原稿にまとめています。
練習会場と本番ホールで変わること
音楽室で決めた並びが、ホールでそのまま通用するとは限りません。違いを先に知っておくと、配置図の書き直しが減ります。
| 項目 | 練習会場 | 本番ホール |
|---|---|---|
| 広さ | 教室・音楽室の大きさで組める | ステージは広い(千葉県の地区予選の会場=奥行約5.5m×横幅約9.1m)。練習で決めた間隔を図に書く |
| 響き | 壁が近く、跳ね返りで混ざって聞こえる | 反響板はあるが、自前の反響板・共鳴箱は持ち込めない。ホルンのベルの向きで聞こえ方が変わる |
| 音出し | その場でチューニングできる | チューニングは控室だけで約15〜20分(大阪府)。ステージ上のチューナーも不可の県がある |
| セッティング | 時間をかけて直せる | 1分以内(大阪府)。椅子の角度と譜面台の高さは練習のうちに決めておく |
| 打楽器 | 学校の楽器 | 借用楽器は高さや大きさが違うことがある。足りなければ台やすのこで高さを合わせる |
とくに響きの違いは大きく、壁が近い練習室では全員の音が混ざって聞こえますが、広いステージでは隣以外の音が届きにくくなります。自前の反響板は持ち込めないので、ホルンのベルを反響板に向ける・低音を片側にまとめる・半円を横に広げすぎないといった並びの工夫で補います。本番と同じ並びと間隔で通し練習をし、できれば誰か1人に客席の位置で聴いてもらってください。
アンサンブル配置図シート(A4・4ページ)を無料ダウンロード
ここまでの内容を、そのまま印刷して埋めるだけのA4シートにしました。1ページ目が記入用(団体名・部門と出演順・編成・曲名、8人分のメンバー表、半円の配置図、椅子と譜面台の数・借用・搬入順・伝達事項の欄)、2ページ目が金管八重奏の記入例、3ページ目が編成別の並びと記号の早見表、4ページ目が打楽器の置き方・転換で渡す情報・練習会場と本番ホールの違い・提出前チェック12項目です。様式が配られている大会では、様式に書き写す前の下書きとして使ってください。登録不要・完全無料、印刷も配布も改変も自由です。
使う順番は3ステップです。① 3ページ目の早見表で編成の並びを選ぶ → ② 1ページ目のメンバー表に下手から番号と楽器を書き、半円に○と×を描く → ③ 4ページ目のチェックで数と提出の条件を確かめ、様式に写す。この3つが済んでいれば、当日ステージの組み方で止まることはまずありません。
まとめ
- アンコンの配置図に書くのは並び・数(椅子○・譜面台×)・打楽器の3つ。様式があれば様式が最優先
- 規定は3〜8人・指揮者なし・1曲5分以内。共鳴箱・反響板は持ち込めない
- 金管五重奏はTp1・Tp2・Hr・Tb・Tuの半円が多い。ホルンは中央でベルを舞台奥へ。向かい合いの型もある
- 金管八重奏はTp・Hr・Tb・Euph・Tuの順。チューバは上手端か中央
- 木管五重奏はFl・Ob・Hr・Fg・Cl。楽譜の段の順とは違う
- 同族の四重奏は高い順に下手から。打楽器は前後2列で中央へ向ける
- 合図を出す人から全員が見える開き方にし、本番と同じ並びで通す


