吹奏楽のステージ配置図の作り方【記入ルール早見表つき】コンクール提出用を無料で作成
「コンクールのステージ配置図を出してと言われたけれど、どう書けばいいのか分からない」——吹奏楽の配置図でつまずくのは、たいてい楽器の並べ方ではなく記入のルールのほうです。○と×が何を指すのか、椅子は何脚と数えるのか、ピアノは借りるのか持ち込むのか。この記事では、各地の吹奏楽連盟が配っている「記入上の注意」に共通する提出で問われるルールを早見表にまとめ、そのうえで編成規模別の配置例・ひな壇の段数と寸法・合唱やオーケストラとの違いまで通しで解説します。
結論:配置図は「○=奏者・×=譜面台」。様式の指定が最優先
先に結論から書きます。吹奏楽のステージ配置図に必要な要素は、突きつめると3つだけです。
- ○(丸)=奏者が座る/立つ位置——中か横に楽器名を書く
- ×(バツ)=譜面台の位置——奏者ひとりにつき1台が基本
- ひな壇の段と、椅子・譜面台の数——舞台スタッフが当日そのとおりに並べる
絵として上手い下手は関係ありません。配置図は鑑賞するものではなく、当日の朝、会場のスタッフがこの紙を見て椅子と譜面台を並べるための指示書です。だから評価されるのは「きれいな図」ではなく「数と位置が合っている図」です。
連盟に出す配置図の記入ルール【早見表】
ここがこの記事の本体です。各地の吹奏楽連盟が配っている「記入上の注意」を読み比べると、書き方の細部は違っても問われている項目はほぼ共通でした。よくある指摘を1枚の表にまとめます。
| 対象 | 書き方・よくある指定 |
|---|---|
| 奏者の位置 | ○で表し、楽器名または略記号を添える |
| 譜面台 | ×で表す。奏者ひとりに1台が基本。2人で1台なら図で分かるように |
| 椅子 | 座る椅子だけでなく、持ち換え用の椅子・楽器置き用の椅子も「その旨」を書き込む。書かないと当日その椅子は出てこない |
| ピアノ椅子 | 通常の椅子と区別するため◎で書かせる様式が多い |
| 椅子・譜面台の合計数 | 使用数の合計を数字で記入する欄がある。図の○×の数と合計数が食い違うのが最頻出のミス |
| 打楽器 | 簡単な楽器の図に楽器名を添えて、1台ずつ書く。打楽器奏者が椅子を使う場合は○に加えて「椅子」と記入 |
| 電源 | ビブラフォンなど電源を使う楽器は使用の有無を明記 |
| ピアノ | ホールで借用するのか持ち込むのかを必ず記載。さらに蓋を開けるか閉じるか、開けるならどれくらい開けるかまで書く |
| 記入者 | 各団体の責任者・顧問が記入するか、記入後にチェックする。部員が書いたまま出さない |
| 提出後の変更 | 認めないと明記する連盟がある。締切前に編成を固める |
細部は大会ごとに違います。必ず自分の団体が出場する大会の要項と様式で確認してください。ここに挙げたのは「どの大会でも聞かれるので、先に決めておくべきこと」のリストだと考えてもらうのが正確です。
編成規模別の基本配置【配置図つき】
並べ方そのものに「絶対の正解」はありません。ただし、音量と音域から導かれる原則は共通しています。
- 音量の小さい木管を前、大きい金管を後ろ——フルートやオーボエは、金管の前に出さないと客席まで届きません
- 低音(Tuba・St.Bass・B.Cl.)は上手側にまとめる——ベースラインの出どころが一点に定まり、客席で和音の土台が聴き取りやすくなります
- 打楽器は最後列。奥行きが足りないホールでは下手側へ寄せる——上手の低音と左右に分離させると、団子にならず打楽器の粒が聴こえます
中編成(50人前後・ひな壇2段)
小編成(30人前後・ひな壇1段)
なお、ピッコロはフルートの左端か右端のどちらに置くかで響き方が変わります。ホールによって当たりが違うので、リハーサルで両方試して決めてください。グロッケンやシロフォンなど音量の小さい鍵盤打楽器も、最後列の奥に埋めるより前寄り・下手寄りに出したほうが客席に届きます。
ひな壇は何段組む?段の高さと奥行きの決め方
吹奏楽の配置図でいちばん見落とされるのがひな壇(雛壇)です。「後ろを高くする」のは、金管と打楽器の音を前列の頭越しに客席へ飛ばすためと、後列が指揮者を見るためです。
ひな壇は「平台(ひらだい)」という台を、「箱馬(はこうま)」や「開き足(ひらきあし)」で持ち上げて組みます。舞台の世界では尺貫法で呼ぶのが一般的です。
| 用語 | 寸法の目安 | 意味 |
|---|---|---|
| 3×6平台(サブロク) | 約91cm×182cm | いちばん基本の平台。枚数を並べて面積をつくる |
| 4×6平台(ヨンロク) | 約121cm×182cm | 奥行きを稼ぎたいときの平台 |
| 6×6平台(ロクロク) | 約182cm×182cm | 大きい平台。枚数を減らせる |
| ゼロナナ | 高さ約21cm | 平台(4寸)+角材(3寸)の低い段。合唱や浅い段差に |
| 中足(ちゅうあし) | 高さ約63cm | 開き足+平台。吹奏楽のひな壇で多い高さ |
| 高足(たかあし) | 高さ約84cm | いちばん奥の段や、大編成の最後列に |
| 編成 | 段数の目安 | 何を載せるか |
|---|---|---|
| 小編成(〜35人) | 1段 | 金管と打楽器をまとめて1段に載せる |
| 中編成(40〜55人) | 2段 | 1段目に金管(Tp・Tb)、2段目に打楽器 |
| 大編成(55人〜) | 2〜3段 | 中低音金管・金管・打楽器を段で分ける。奥行き次第で3段は不可のことも |
| 合唱との併演 | 吹奏楽の後ろにもう1〜2段 | 段が足りないことが多い。早い段階で会場に確認する |
段の上に置ける奏者の数は、奥行きから逆算します。椅子に座って演奏する奏者は、椅子と譜面台と楽器でひとりおよそ90cm四方を見ておくと現実的です。トロンボーンはスライドを前に伸ばすので、前の列との間隔を広めに。コントラバスとチューバは楽器そのものが場所を取るため、同じ1人でも1.5人分と見積もるくらいがちょうどよいです。
打楽器と低音楽器の置き方(いちばん揉めるところ)
配置図で情報量がいちばん多いのが打楽器です。ここが雑だと、当日の舞台上でスタッフが手を止めます。
- 1台ずつ書く。「Perc.」とまとめず、ティンパニ・バスドラム・スネア・シンバル・グロッケン・シロフォン・ビブラフォン・小物テーブルを、それぞれ図に置いて名前を書きます
- 借用か持込かを明記。ホールのティンパニやコンサートバスドラムを借りる場合は「借用」と書き添えます。持ち込むなら搬入の段取りにも関わります
- 椅子を使う奏者は「椅子」と書く。ティンパニやドラムセットなど座って演奏する場合、○に「椅子」と添えるよう求める様式が多いです
- 電源の有無。ビブラフォンのモーターなど電源が要る楽器は、使用の有無を必ず書きます。書き漏らすと当日ケーブルが来ません
- 小物テーブルも1つの物として置く。テーブルは椅子とも譜面台とも違う扱いで、書いておかないと出てきません
低音側では、チューバとコントラバスを離さないのが基本です。離すと、ふたりが互いを聴けずピッチと発音のタイミングが合わなくなります。バスクラリネットとバリトンサックスも、この低音のかたまりの近くにあると縦が揃いやすくなります。
合唱・オーケストラの配置図はどう違う?
合唱(混声4部)の配置図
合唱の配置図は、吹奏楽と考え方が少し違います。奏者ひとりずつに○を振るのではなく、パートごとの「かたまり」と、列数・人数で書くのが一般的です。
並び順はソプラノ・アルト・テノール・バス(SATB)を基本に、高音から順に並べると隣り合うパートの音域が近く、音色を合わせやすくなります。女声2パートを前・男声2パートを後ろに置くと、女声が客席に近くなって聴こえやすくなります。どちらを採るかは曲によって変えて構いません。
ひな壇の段数は人数÷1列の人数で決まります。1列に何人並べるかは間口次第で、ひとり約55〜60cmが目安です。40人なら1列13〜14人×3列、といった具合に計算してから段数を決めます。伴奏ピアノは下手前方が定位置で、指揮者から見えて、かつ歌い手がピアノを聴ける角度に置きます。
オーケストラの配置図
オーケストラは弦が主役なので、弦5部が前、木管が中央、金管と打楽器が後ろという層になります。客席から見て左から第1ヴァイオリン・第2ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロと並ぶ配置が現在は主流ですが、第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンを左右に分ける対向配置を採る指揮者もいます。どちらかで配置図が丸ごと変わるので、指揮者に先に確認してから図を書いてください。
吹奏楽と合唱を1つのステージでやる場合
定期演奏会でいちばん事故が起きるのがこのパターンです。合唱のひな壇は吹奏楽の後ろに組むことになりますが、吹奏楽のひな壇2段+合唱のひな壇となると、ホールの奥行きも段の枚数も足りなくなることがよくあります。曲順を決める段階で会場に相談し、転換で段を組み替える時間をプログラムに確保してください。
体育館と文化ホールで変わること
同じ編成でも、会場が変わると配置図は書き直しになります。
| 文化ホール | 体育館 | |
|---|---|---|
| ひな壇 | 平台と箱馬で自由に組める。様式に寸法の指定あり | 常設の合唱段のみのことが多く、段数を選べない |
| 響き | 残響が長い。金管を後ろに下げるほど混ざる | 残響が短く、音が散る。奥に下げると届かない |
| 配置の修正 | 原則どおりでよい | 全体を前寄り・扇を狭く。奥行きを使わない |
| ピアノ | ホールの備品を借用(要申請) | アップライトのことが多い。位置と向きを図に書く |
| 電源 | 舞台の各所にコンセントあり | 数が少ない。延長コードの経路まで図に書く |
体育館は床が鳴らず、壁と天井で音が散るため、ホールと同じ感覚で奥に広げると客席には何も届きません。全体を1〜2m前に出し、扇の幅を狭くして中央でまとめるほうが、結果として遠くまで聴こえます。文化祭など体育館での演奏を控えている場合は、文化祭の体育館ステージの配置もあわせて参考にしてください(軽音バンド向けですが、体育館の音の回り方と電源の考え方は共通です)。
配置図の作り方【4ステップ】
STEP1:様式を手に入れる
大会要項から、その年度・その会場の様式をダウンロードします。「ひな壇2段用」「1段用」で用紙が分かれていることがあるので、自分の団体が使う段数のものを選びます。
STEP2:編成表を先に確定する
図を描く前に、パートごとの人数を確定させます。ここが揺れていると何度も書き直すことになります。持ち換え(フルート→ピッコロ、アルト→ソプラノサックスなど)がある人は、持ち換え用の椅子が要るかもこの段階で決めておきます。
STEP3:○と楽器名を置く
後列(打楽器・金管)から前へ置いていくと、段の上に載る数が先に決まるので早いです。置き終わったら譜面台の×を打ちます。
STEP4:数を数えて記入し、PDFで提出する
最後に椅子の数・譜面台の数を実際に数えて、合計欄に書きます。図と合計数が合っているかを、顧問か責任者がもう一度チェックしてから提出します。提出はPDFが無難です。WordやExcelの生ファイルは、相手の環境でフォントが置き換わって図がずれます。
| 作り方 | 向いている場面 | 弱点 |
|---|---|---|
| 指定様式に手書き+スキャン | 様式がPDFで配られていて、部員が少ない | 修正のたびに書き直し。字が読めないと差し戻される |
| Excel・Wordで図形を並べる | PCで細かく作り込みたい。前年のファイルがある | 図形の操作が地味に面倒。環境が変わると崩れる |
| ブラウザの作図ツール | 何案も比べたい。スマホでも直したい | 指定様式そのものに直接書き込むことはできない |
ExcelやPowerPointで作る手順はエクセル・パワポでの作図手順に、図形の選び方からPDF書き出しまでまとめています(バンド向けの解説ですが、方眼の設定と図形操作の部分はそのまま使えます)。
楽器略記号の早見表(配置図に書くとき)
配置図の○は小さいので、楽器名は略記号で書くのが一般的です。よく使うものをまとめました。
| 区分 | 楽器 | 略記号 |
|---|---|---|
| 木管 | フルート | Fl. |
| ピッコロ | Picc. | |
| オーボエ | Ob. | |
| ファゴット(バスーン) | Bsn. / Fg. | |
| クラリネット | Cl. | |
| バスクラリネット | B.Cl. | |
| サックス(アルト/テナー/バリトン) | A.Sax. / T.Sax. / B.Sax. | |
| 金管 | トランペット | Tp. / Trp. |
| コルネット | Cor. | |
| ホルン | Hr. / Hn. | |
| トロンボーン | Tb. / Trb. | |
| ユーフォニアム | Euph. | |
| チューバ | Tuba | |
| 打楽器・その他 | ティンパニ | Timp. |
| 打楽器(総称) | Perc. | |
| グロッケン/シロフォン/ビブラフォン/マリンバ | Glock. / Xylo. / Vib. / Mar. | |
| コントラバス(弦バス) | St.Bass / Cb. | |
| ピアノ | Pf. | |
| 指揮者 | Cond. |
提出前チェックリスト
出す前にここだけは確認してください。差し戻しの大半はこの中にあります。
- その年度・その会場の様式を使っている(去年のファイルの使い回しではない)
- ひな壇の段数が様式(2段用/1段用)と合っている
- 図の○の数と部員の人数が合っている
- 椅子の合計数を数えて記入した
- 譜面台の合計数を数えて記入した
- 持ち換え用の椅子・楽器置き用の椅子を、その旨を書いたうえで数に入れた
- 打楽器を1台ずつ書き、借用するものに「借用」と書いた
- 座って演奏する打楽器奏者に「椅子」と書き添えた
- 電源を使う楽器(ビブラフォン等)の有無を書いた
- ピアノの借用/持込を書いた
- ピアノの蓋の開閉(開ける場合はどれくらい)を書いた
- 指揮台の有無・高さの希望を書いた
- 団体名・部門・出演順など様式の上部の記入欄がすべて埋まっている
- 顧問または責任者が記入したか、記入後にチェックした
- 提出形式(PDF/紙/メール)と締切を要項で確認した
まとめ
- 配置図は作品ではなく当日の設営指示書。評価されるのは「数と位置が合っているか」
- 基本は○=奏者/×=譜面台/◎=ピアノ椅子。連盟の様式があればそれが最優先
- 最頻出のミスは図の○×の数と、合計欄の数字が食い違うこと
- 持ち換え用・楽器置き用の椅子、電源、ピアノの借用と蓋——書き漏らすと当日出てこない
- 配置の原則は木管が前・金管が後ろ・低音は上手にまとめる・打楽器は最後列(狭ければ下手へ)
- ひな壇は中編成で2段、小編成で1段が目安。寸法は会場ごとに違い、年度で変わることもある
- 合唱は列と人数で書く。吹奏楽と併演するなら段の枚数を早めに会場へ確認
- 体育館では全体を前に出し、扇を狭く。ホールと同じ感覚で広げると届かない
- 下書きはツール、清書は指定様式の二段構えが速い