ステージプロット(Stage Plot)とは?セット図との違い・書き方・海外シーンでの標準
海外の音楽シーンや、日本でも大型フェス・ツアー現場で耳にする「ステージプロット(Stage Plot)」。結論から言うと、ステージプロットとは、バンドの立ち位置・使用機材・モニター配置をステージを上から見た図で示す配置図のこと。日本のライブハウス文化で「セット図」と呼ばれているものと、実質的には同じ資料です。この記事では、両者の違いと同義性、記載すべき項目と英語ラベル対応、インプットリストやテクニカルライダー(Tech Rider)との関係、海外シーンで求められる粒度、書き方の実例までまとめます。
結論:ステージプロットとは「上から見たステージ配置図」
ステージプロット(Stage Plot)とは、ライブ本番でバンドがどう立ち、どんな機材をどこに置くかを、ステージを上から見た図で示した資料です。英語では単に「plot」(配置・見取り図)と呼ばれ、海外の音楽シーンではライブ出演時に会場や音響エンジニアへ提出する標準資料として定着しています。
日本のライブハウス文化で「セット図」と呼ばれているものと、実質的には同じ資料です。書くべき内容も、使う目的も同じ。呼び方の違い=文化圏の違いと理解してOKです。
セット図との違い——同じもの、呼び方が違うだけ
ステージプロットとセット図は、次のような使い分けで呼び分けられることが多いです。ただし現場によって揺れがあり、厳密な線引きはありません。
| ステージプロット | セット図 | |
|---|---|---|
| 使う場面 | 海外シーン・フェス・ツアー | 国内ライブハウス・対バン |
| 言語 | 英語ラベルが多い | 日本語ラベルが基本 |
| 技術要件 | 電源・回線本数も1枚に | 回線表は別紙にする慣習 |
| 提出先 | プロモーター・技術監督 | ライブハウスのブッキング担当 |
ステージプロットに書く項目(必須7つ)
フォーマットは自由ですが、次の7項目が入っていれば「ちゃんとしたステージプロット」として通用します。
| 項目 | 書く内容 |
|---|---|
| ① 基本情報 | バンド名・日付・会場・連絡先(英語なら Band / Date / Venue / Contact) |
| ② 編成と役割 | Vo / Gt / Ba / Dr / Key(英語ならLead Vocal / Guitar / Bass / Drums / Keys) |
| ③ 立ち位置 | 客席目線でのステージ配置(下手/上手=Stage Left/Right) |
| ④ 使用機材 | アンプ・キーボード・DI・ドラムの型番と持込/レンタル区分 |
| ⑤ マイク | ボーカル・コーラス・楽器マイクの本数と種類 |
| ⑥ モニター(返し) | フロアモニターの位置と数、IEM使用者の明記 |
| ⑦ 電源とその他 | 要電源機材の位置、ワイヤレスの周波数帯 |
基本の書き方はセット図の作り方・書き方【完全ガイド】で解説しています。海外提出の場合は、下の英語ラベル対応表も併用してください。
日本語 / 英語ラベル対応表
海外シーンや英語圏バンドとの共演時に頻出する用語の対応表です。プロットに書き入れるときの参考にどうぞ。
| 日本語 | English | 意味 |
|---|---|---|
| 上手 | Stage Right (SR) | 客席から見て右側 |
| 下手 | Stage Left (SL) | 客席から見て左側 |
| ステージ奥 | Upstage / Backline | 客席から遠い側(アンプの列) |
| ステージ前 | Downstage | 客席側 |
| 返し(モニター) | Wedge / Floor Monitor | 足元の返しスピーカー |
| サイドフィル | Side Fill | ステージ両袖のモニター |
| イヤモニ | IEM (In-Ear Monitor) | 耳の中で聴く自分用モニター |
| ボーカル | Lead Vocal / Vox | メインボーカル |
| コーラス | Backing Vocal (BV) | コーラス・バックボーカル |
| 回線表 | Input List / Channel List | 各chの信号一覧 |
| 技術要件書 | Tech Rider / Technical Rider | 提供必須機材・電源の要件書 |
ステージの向きの基本については上手・下手(かみて・しもて)とはを参照してください。
ステージプロットとテクニカルライダー(Tech Rider)
海外シーンでは、ステージプロットは単独ではなくテクニカルライダー(Tech Rider)と呼ばれる技術要件書の中の1ページとして提出されるのが一般的です。両者の関係を整理します。
| 資料 | 役割 | 内容の例 |
|---|---|---|
| Stage Plot | 配置図 | 立ち位置・機材の位置・モニター位置を図で示す |
| Input List | 回線表 | 各chの楽器名・マイク種類・DI要否 |
| Tech Rider | 技術要件書 | 会場が用意すべきPA機材・電源・楽器レンタル・照明要件 |
| Hospitality Rider | おもてなし要件 | 楽屋の飲食・タオル・宿泊など(大物アーティスト向け) |
日本のライブハウス文化ではセット図と回線表を別紙で提出することが多いですが、海外では1つのPDFにまとめて提出するのが標準的。バンドとしての品質評価にも直結します。
良い例・悪い例
✅ 良いステージプロットの特徴
- ステージを上から見た向きで描かれている(客席目線=Downstage側が下)
- 各メンバーの役割ラベルが入っている(Lead Vocal / Guitar 1など)
- アンプ・DI・モニターに型番や希望が書かれている
- 返し(モニター)の数と位置が明記されている
- ワイヤレスなら周波数帯まで書いてある
- PDF・1〜2ページ以内で完結している
❌ 悪いステージプロットの特徴
- ステージの向きが分からない(Downstageがどちらか不明)
- 「ギター」「ボーカル」など役割の割り当てが曖昧
- 持込機材とレンタル機材の区別がない
- モニター(返し)の情報が抜けている
- 手書きでスキャンした画像が荒く、文字が読めない
- ページ数が多すぎる(3ページ以上)
ステージプロットの作り方(3ステップ)
- 白紙にステージの枠を書く:長方形を描き、下辺を「Downstage / 客席側」と明記。上辺は「Upstage / Backline」。
- 編成を配置する:ドラムは奥中央、アンプはドラムの両脇、ギター/ベースはアンプの前、ボーカルはステージ中央前——というのが基本形。
- マイクと返しを追加:各パートのマイクの位置、返し(Wedge)の位置と数、電源が必要な機材を書き込む。
▲ ツインギター編成のステージプロット例。日本語ラベル/英語ラベルどちらでも同じ構成で作れます。詳しい編成別の書き方はバンド編成別セット図(3/4/5人)を参照。
提出のタイミングとマナー
ステージプロットは、次のタイミングで提出するのが標準です。
| シーン | 提出タイミング |
|---|---|
| 国内ライブハウス | 本番の1週間前まで(当日は印刷1部を持参) |
| フェス出演 | 本番の2〜4週間前(プロモーター指定の締切に従う) |
| 海外ツアー | ツアー確定後にツアーマネージャー経由でまとめて提出 |
| 対バン | ブッキング担当が指定する期日まで |
提出後に編成や機材が変わった場合は、必ず更新版を送り直すのがマナー。当日「実はメンバーが1人増えました」は、返しの数もマイクの本数も回線数も足りなくなり、リハに支障が出ます。
こんなシーンで役に立つ
- ✅ 海外バンドとの共演:「Send us your stage plot」と言われたら、これのこと
- ✅ 大型フェス出演:転換時間が短いため、事前のプロット共有が必須
- ✅ 初めての会場:ステージ寸法や電源位置と照らし合わせて、事前にPA/技術監督が準備できる
- ✅ ツアー:会場ごとに同じプロットを流用でき、リハ時間の節約になる
- ✅ マネジメント/レーベル所属:プロっぽい提出資料はバンドの評価にも直結する